世界を熱狂させたベストセラーの映画化がついに実現、アカデミー賞最有力とされる話題作『パフューム ある人殺しの物語』が第19回東京国際映画祭で上映され、監督のトム・ティクヴァと主演のベン・ウィショーが舞台挨拶を行った。
原作は1985年にドイツで発表されたパトリック・ジュースキントの小説で、その映画化権をめぐっては数多くの巨匠をも巻き込んだ激しい争奪戦が繰り広げられてきたが、この待望作の監督に抜擢されたのは『ラン・ローラ・ラン』の斬新な映像手法で注目を集めたトム・ティクヴァ。満席の会場を前に「ヨーロッパ以外では初めての上映なので反応が楽しみ」と笑顔で挨拶したディグバは、20年前に原作を読んで衝撃を受けたといい、「今回の映画化にあたり読み直したところ、個人的に興味深い題材や要素がたくさん含まれていました。この物語の映像化は難しく複雑でしたが、そうした探求を私は楽しんでいます」と語った。
ティクヴァに見出され、天才的な嗅覚を持ち香水調合師となってこの世にひとつしかない香水を創ろうとする主人公を演じたベン・ウィショーは、役作りについて、「複雑なプロセスでしたが、脚本をよく分析し、このキャラクターの奇妙な行動を説得力ある形で描こうとしました」と話す。また、本作の魅力はとの質問には、不穏な内容にもかかわらず人々が目を背けたがらない理由はわからないとしながらも、「匂いというテーマは内密かつ強烈なもので、人々の心に訴えかける力を持っているのでしょう」と答えた。
上映を前に、トム・ティクヴァ監督は「嗅覚でこの映画を楽しんでください」と観客にメッセージを送り、挨拶を締めくくった。
(古田 智佳子)