”この作品は100年後に理解されるだろう。”
日本が誇る文豪・夏目漱石は自身の小説「ユメ十夜」についてこんな言葉を残した。

そして誕生からちょうど100年。まるで漱石の予言を実現するかのように映画『ユメ十夜』が生まれた。漱石の世界に魅了された、日本を代表する個性的なスタッフ、キャストによって独自の解釈を交えながら生まれ変わった『ユメ十夜』。今一番注目される映画とも言える本作が第19回東京国際映画祭の招待作品としてTIFF特別バージョンの全九夜で初のお披露目となった。

第二夜
うじきつよしさん:「第二夜は漱石が精神的に病んでいて、鎌倉に悟りを開きに行った頃がベースになっているそうです。私も座禅などをしながら疑似体験をし、市川監督と一緒に悩みながら作りました。市川監督は他の監督がどんな作品を作っているのかとても気にしていましたよ!」

第三夜
清水崇監督:「夏目漱石の「ユメ十夜」は昔から映画で撮りたいと思ってました。しかもまさにやりたかった第三夜!この映画の作り手側にはいろんな個性的な方がいてわけがわかりませんが(笑)、それが漱石の魅力なのかもしれません。文豪として名高い漱石の作品ですが頑なにならず、いろんな年代の方に楽しんでもらいたいですね。実は第三夜はまだ完成していません。今日は他の作品を観て行こうか迷っていましたが、観ないで帰って頑張ります!!」

第四夜
清水厚監督:「私は第四夜に加え、プロローグとエピローグを担当させていただきました。個性的な作品が多いので、作家性を出したりして邪魔しないよう心がけました。第四夜は漱石の子供の頃のユメを描いていて、センチメンタルなものになってます。」

第五夜
豊島圭介監督:「夏目漱石の作品をまさか自分が映画化することになるとは・・・という感じです。最初はものすごいチャレンジだと思いました。いつか一緒にお仕事をしたいと思っていた市川実日子さんや大倉孝二さん、そしてスタッフの方々が集まってくれて感激です。」

第六夜
TOZAWA:「個性的な漱石ワールドに奇抜な松尾ワールド、そして監督の意向でTOZAWAワールドが融合することになりました。変わった作品になっていると思います。」

第七夜
河原真明監督:「小説「ユメ十夜」は夏目漱石のいろんな時代を切り取って仕上げた作品です。彼の生き様を僕らなりに切り取って、自分の生き様とも重ねながら映像に落とし込みました。第七夜はアニメーションで表現してみましたが、毛色が変わったCGなので普段こういう映像に抵抗がある方も入っていけると思います。」

第八夜
藤岡弘、さん:「”100年経った今でも古くならない作品を作り上げた漱石は、やはり偉大だと思います。たぶんこの先もそうなんでしょう。やりたい放題やった第八夜を温かい目で見守ってください。”というメッセージを山下敦弘監督から預かってきました。若い山下監督の斬新さを見て、彼は新しい時代を担う監督だと感じました。」

第九夜
緒川たまきさん:「”どこの一文を取り上げても詩的で端正で、美しくて感激しました。どうしても漱石が書いたものをそのまま一文でも映画に生かしたいと思いました。それは原作へのオマージュを示したかったからです。この映画を作ることで漱石という人の作品のおもしろさにじっくり触れることができました。”と西川美和監督からメッセージを頂いています。私自身「ユメ十夜」には高校時代にハマり、”豚に舐められますが、よござんすか?”という一文をいつも口ずさんでいたことがありました(笑)。奇想天外で気持ちがこんがらがるかもしれませんが、身を委ねるととても心地いいと思います。第九夜だけ女性監督特有のしっとりした作品に仕上がっています。」

第十夜
山口雄大監督:「以前はぶっ飛んだコメディを撮っていたので、お話を頂いた時は、自分がやれるのはどれだろう?と思っていました。でも第十夜だったらハチャメチャなテイストなのでやれるんじゃないかと思いましたね。派手に終わって欲しいというプロデューサーの要望もあり、脚本を漫☆画太郎さんに頼みました。かなり変わった変なものになってますが、パーっと楽しんでもらえると思います。文豪のお膝元を借りて若い者が遊ばせてもらった、という感じですね。」

完成版は2007年春に公開予定。
誰も届かなかった、漱石の世界の扉が開かれる。
(umemoto)