狂った世界への警鐘『saru phase three』舞台挨拶in東葛国際映画祭2006
『saru』という薬の人体実験を扱った作品で衝撃的なデビューを飾った葉山陽一郎監督。その続編ともいえる『saru phase three』が東葛国際映画祭2006で上映され、監督と高野八誠、清水ゆりが舞台挨拶を行なった。
新薬の人体実験の治験アルバイトを扱った『saru』であったが、今回扱ったのは実際の患者への新薬治験。安全性の確認されない新薬の投与によって患者たちは徐々に危険な世界へ足を踏み入れていく。その様子は目をふさいでしまいたくなるほどの強烈さを誇る。しかし、その様子を見守る清水ゆみ演じる看護婦はどこか不気味な雰囲気を観客に感じさせる。
「この演技をする上で、私は常にポーカーフェイスでいようと決めていました。それは見える表情もそうですが、見えない気持ちの部分でも同じことです。」
清水ゆりがそう語るように、彼女が演じた看護婦は何か秘密を秘めているのだ。
上映が終わったあとの会場の様子は、映画の衝撃が残るどこか重い雰囲気。その様子を見た監督は語った。
「もっと楽しめる映画をつくらなくてまず謝罪したいと思います(笑)。このsaruシリーズは、この後もプロットを書いている状態で私自身続編を決意しています。それほどこの作品は僕の映画人生の中でこだわっていきたいものです。世界も、日本も、政治も、企業も、時代はどんどん狂っている。そういった時代の狂気を手探りで作品に残していきたいと思っています。」
(林田健二)