東葛国際映画祭2006にて亀井亨監督『妖怪奇談』が10月21日上映された。亀井監督をはじめ、各ストーリーの主人公である宮光真理子、伴杏里、市川春樹が舞台挨拶を行なった。

タイトル通り「妖怪」を扱った物語だが、これまでの妖怪がでてくる映画とは全く違った視点から「妖怪」を描いている。今回の「妖怪」は人間の進化した形。各ストーリーの女性たちがいつの間にか妖怪に変化し、現代で生きていく上で悩む姿は、いわゆる”妖怪物”と呼ばれるホラーではなく、「妖怪」の形になってしまっただけの「一人の人間」のメンタルが描かれている。

各ストーリーの主人公たちが演じたのは「売れないモデルの役をやっています。自分に自信がなくて人目を気にして自意識過剰な女性」(宮光真理子)「20代前半で、学校や、バイトでの友達との関係がうまくいかなくて一つの趣味に熱中しすぎ女性」(伴杏里)「中学3年生で性格が悪く、友達を信用していない女の子」(市川春樹)である。

この一風変わった映画で何を伝えたかったのか。亀井監督は語る。
「普通の妖怪物じゃないように撮れたらと思ったのがきっかけです。普通の人間の体の一部が変化していった姿が、普通に世の中に出ている人だと仮定しました。見た目の奇抜さよりも、それぞれの人間たちが抱えるメンタルな部分をみていただきたいと思います。」
(林田健二)