10月21日(土)、大崎章初監督作品『キャッチボール屋』が初日を迎え、キャスト、スタッフによる舞台挨拶が新宿K’s cinemaにて行われた。

構想から5年という時間をかけ長編デビューを果たした大崎監督。「本日は来ていただいてありがとうございます。初日を迎えることができまして、今日みなさんに見て頂いたので、やっと映画が完成したと思っています。」と感慨深げに挨拶した。その後は大崎監督と大森南朋(なお)の絶妙なかけあいで、トークショーのような終始笑いの絶えない挨拶となった。

Q:10分100円の『キャッチボール屋』のアイディアはどこから?
監督:「二十代の本当に暇だった頃に、杉並の公園で、一人でキャッチボールをやってたんですよ。壁にボールをぶつけたり・・」
大森:「それ、キャッチボールって言わないです。(会場笑) 壁当てです。」
監督:「でも、本当に隣でやっている親子の人とかに声をかけて、「一緒にやりませんか?」とかいって・・」
大森:「頭のおかしい感じが(笑)」
監督:「頭のおかしいって・・あと、脚本の足立くんとかと一緒にやったりしましたね。」

Q:構想に5年かかったんですね?
監督:「構想に5年っていうとすごくカッコいいんですけど、5年間かかっちゃったってだけかもしれませんね。(笑)」
大森:「5年間、悶々と部屋で考えてただけなんでしょ?」(会場笑)
監督:「あの・・色々みんなで内容を練ったりして。」

Q:台本を読まれて、役柄をどう受け止めて演じられましたか?
大森:「ああ、難しいな。さらっと読んで、さらっと演ったんですね(笑)、うそですけど。その時思った事はあんまり覚えてないんですけど、たぶん色々思ったんですよ。「がんばらな、あかんな」みたいなこととか含めて。でもあとは現場で監督と話をして作っていこうかなっていうことを打ち合わせの段階でしてたんで、あえて台本を読んで一人で悶々とガーッと世界を作ってくみたいな感じにはしなかったですね。」
監督:「でも、現場ではほとんど打ち合わせしなかったですね?」
大森:「アイコンタクトで気持ちが通じ合ってる。それポジティブに捉えていいですね?」
監督:「そうだと思います。あの感じ!」
大森:「奇跡ですね。」
監督:「奇跡です!」

Q:主人公のタカシは同世代ですが、大森さんにはどう映りました?
大森:「ああいうしょうもない感じっていうのは、僕も全然二十代役者で食えてなかったりする悲しい現実があるんで(笑)、うまくいかない感じっていうのはすごく分かるんで。まあ、すごく分かりやすい言葉でいうと、共感できました。」(会場笑)
キタキ:「最初に台本を頂いて読んだ時に、純粋にすごい感動しまして。ひとりひとりの色んな人生の決着のつけ方に胸を打たれ、すごい良かった。役はとにかく監督の方から笑わないようにっていうことを言われていたので、笑っているつもりはなくても笑っていることがあったみたいで。あと首が揺れている(笑)って、だから揺れないようにって・・(会場笑)。それが大変でしたけど、すごく楽しい撮影でした(笑)。あとは、大森さんは何気に本読みをしてくださったり、記憶にないのかもしれないんですけど・・。」
大森:「現場でですか?ああ、そうですね。優しい俳優としては!いや、ウソです。」
キタキ:「そんな感じで、現場で役は何となくつかんでいったと思います。」
Q:水橋さんは?
水橋:「どうですかね?」(監督に向かって)
監督:「結構テストの時とかいつも変えてきてくれたので、とても楽しいというか、それが本当にうれしかったです。」
水橋:「やりすぎたかな・・」
監督:「いやいや、なんかやりすぎなのかそうじゃないかっていうのは相談しながら作ってたじゃないですか。あの感じが今でも懐かしいですね。」
水橋:「そうですね。南朋くんとか皆さんがよく・・してくれましたしね」
大森:「心にも無いことを」
水橋:「すごく、すごくよ!すごくよく思ってる。」
大森:「すごいんですよ。毎回リハーサルと違う芝居をしてくるんですけど、本番も違うんですけど、何がイヤかって眼の奥が笑っているんですよ。僕のリアクション見て笑ってるんですよ。ワルだな〜と思って。ちょっとヘコみますもんね。」
水橋:「心で、すごく優しい気持ちで。」
大森:「何なんだ、この距離感。」(会場笑)

Q:主に公園で行われていますが、空き時間は何をして過ごしていましたか?
監督:「その質問って大体分かりますよね(笑)。いや、キャッチボールしてました(笑)!スタッフとキャストがよくキャッチボールしてましたよね。」
大森:「してましたね、もと野球部の方とかも結構いらして。僕はちょっと背の低い怖いおじさん(寺島進)によくキャッチャーで。」
監督:「いつもやってましたよね、練習というか。怖かったですあの人?」
大森:「横に背の高〜い人(松重豊)がいるんです。」
監督:「あの人も強面でしたね(笑)。」
大森:「怖いんですよね。」
キタキ:「終始和やかな感じで、楽しい現場だったんですけど。私は今回出ているキャストの方々よりもお芝居の経験は少なかったので、いろんなとまどいがある中での撮影だったんですけど、緊張してどうしようもなくなった時は、大崎さんを見て、大崎さんの動きが面白いんです。カット!って言ってカメラ頭にぶつけたりとかしたり・・」
監督:「あなたのアップの画面でしたね。あれ、みんな笑ってましたね。カメラ倒しそうになるくらい喜んじゃって(笑)。」

Q先輩の俳優からアドバイスはあったんですか?
キタキ:「アドバイス・・・は頂いてないです。」
監督:「頂いてないって・・・」

「実は今、松重さんが来られています!」というMCの声で劇場がドッと沸き、後方から松重豊が登場!

松重:「失礼な話してるんじゃないよ。中年組が言いたい放題言われてるけども、あなた(キタキ)に僕、演技指導してあげている気がしたんだけどね。いないと思って油断しちゃだめだよ、この世界ね。本当ありがとうございました。もう一年以上経っているんで何やっていたか覚えてないんですけど、たしか僕バッターでしたよね?どんどん宣伝して、ここもずっと満員で続けたいんでね。がんばりました。ありがとうございました!」

最後に大崎監督から観客へメッセージを送った。「もしかしたら“するめ”のような映画なので、かめばかむほど味が出るような1回ではなく2回、3回でも見ていいかなと。お友達にも紹介していただけたらと思います。」

こんな楽しいトークショーが公開中は続々と開催されます。映画とともにトークショーにもぜひ足を運んで楽しんでください!
(M.NIBE)