10月21日(土)より開幕する第19回東京国際映画祭オープニング上映に伴い「父親たちの星条旗」(クリント・イーストウッド監督、10月28日公開)のキャストであるジェシー・ブラッドフォード、アダム・ビーチと原作者のジェイムズ・ブラッドリーが来日し、記者会見を行った。

『ミリオンダラー・ベイビー』でアカデミー賞作品賞、監督賞を受賞したクリント・イーストウッドが、歴史的な硫黄島の戦いを日米双方の視点から描く映画史上初の2部作として、アメリカ側の視点から描く「父親たちの星条旗」(10月28日公開)と、日本側の視点から描く「硫黄島からの手紙」(12月9日公開)を、2作連続公開する。
原作者、ジェームズ・ブラッドリーは父、ジョン・ブラッドリーが生きている間、星条旗を揚げたことを知ることは無かったという。父の死後、父が残した父母宛の手紙を発見し、素晴らしい経験だと記してあった。なぜ息子とその経験分かち合えなかったのか?「あまりにつらい経験で言葉にできなかったのだろう。」。映画の感想については「正確に映像化してほしいが20時間かかる。2時間の中に最も伝えてほしいエモーショナルを伝えて頂けた」と語った。

19歳で硫黄島戦に参加した若き海兵隊員レイニー・ギャグノン役のジェシー・ブラッドフォードは、「私は全く戦争経験がない。このような役を演じる上では、色々書籍を読み、ドキュメンタリー映画を見てイメージを焼き付け、レイニー・ジュニアとも電話で話した。地獄のような体験だと思う。犠牲を払った人たちをリスペクトしたい」と語った。
同じく海兵隊員アイラ・ヘイズを演じたアダム・ビーチは「書籍やイメージで勉強して二週間も経つと悪夢を見ているようで眠れなくなった。ヒッチハイクのシーンの直前、父から電話で祖母が亡くなったことを聞いた。泣き崩れたい気分だったが、その時イースト・ウッド監督から「君、大丈夫?」と声をかけられ、どうしてもこのシーンを撮り終えたいと言った。この時初めて
苦しい辛い気持ちでアイラへイズとのつながりが持てた。」と語った。

クリント・イーストウッド監督は、俳優に任せ信頼する姿勢の演出方法だったという。アダムは「クリントは世界一クール!クリントは1テイクしか撮らない。自信がつき、1テイクの中に全てを込めようと挑むから、それが可能になった」。ジェシーは「クリントはスイスの時計のように正確。クリントのエネルギーはゆったりして感染するような穏やかさだった」と話し、監督と俳優の信頼関係が濃密だったことを明らかにした。

残念ながら『硫黄島の手紙』編集中のため来日できなかったイーストウッド監督だが、10月21日(土)のTIFFオープニング上映のためにメッセージが届いており、そして、11月15日に日本武道館で行われるワールド・プレミアでは来日を予定しており、出演者の渡辺謙、二宮和也、伊原剛志、中村獅童とともに記者会見を開催が決定している。
(M.NIBE)