第7回水戸短編映像祭で『鍋と友達』(02)でグランプリを獲得した沖田修一監督の初長編作品『このすばらしき世界』が初日を迎え、沖田監督、出演者の畑敬志、大崎由利子、兵藤公美による舞台挨拶が行われた。

高校生の涼一(畑敬志)は、学校にも行かず、真っ昼間からテレビゲームばかりやっている。家族は皆忙しく、朝になると涼一に千円札一枚だけを置いて、出かけていく。ある日、自殺未遂をした従兄弟の叔父さんである清(古館寛治)が療養のために我が家にやって来た。日々家にいる涼一と清との奇妙な生活が始まった・・

映画初出演の畑敬志さんは、監督とは以前からの知り合いで、すでにキャスティングされていた古館寛治さんの隣に立つ者として抜擢された。「アットホームでやりやすかったです」という彼だが、撮影中はゲームに負けてスタッフ20人にアイスをおごることになり、本気で怒ることもあったそう。
そのご飯を食べるシーンの撮影中、出演者の胃袋のことを心配していた沖田監督が控え室をのぞいたら、涼一の母役・大崎さん、涼一の姉役の兵藤さんの二人がお菓子を食べているのを発見!「畑くんが一番胃袋に入らなくて、また本気で怒っていました(笑)」というエピソードを披露した。

叔父さん役の古館さんは青年団のヨーロッパ公演中のため、この日の舞台挨拶には出席できず、彼のメッセージを沖田監督自らが読み上げた。「この限られた条件下でやっとできあがった作品を皆さんがどう思うか気になります。帰国後、監督からいろんな話を聞くのが楽しみです」

映画のみどころについて、大崎さんは「畑くんと古館さんの二人の関係が面白く描かれているところ」、兵藤さんは「すごく悲惨な人が滑稽なところが沖田映画の魅力」、畑さんは「一緒に演技をした古館さんをはじめ、みんなの演技」、沖田監督は「畑くんの何もしゃべっていない時の顔と古館さんのよく動く顔」と答えた。

『このすばらしきせかい』は10月27日まで池袋シネマ・ロサにてレイトショー上映中。20日(金)上映前には、沖田監督×いまおかしんじ監督×守屋文雄さんによるトークショーも予定されている。映画の裏話を聞きたい方はぜひ劇場へ!
(M.NIBE)