女性を中心に幅広い読者層から圧倒的な支持を受け、いま最も注目される気鋭の作家・瀬尾まいこ原作の映画『幸福な食卓』が、10月12日、丸の内ピカデリー1にて完成披露試写会が行われた。監督の小松隆志、主演の北乃きいをはじめ総勢7名が舞台挨拶を行った。

物語は北乃きい演じる佐和子というひとりの少女の視点を通じて、その家族の崩壊と再生を綴ったもの。「父さんは今日で父さんを辞めようと思う。」中学校生活最後の1年の始業式の朝の食卓で、そう告げる父を演じた羽場裕一は「私にも中3の息子がいるんですが、この映画を観たとき、あらためて朝ごはんを一緒に食べないといけないなと思いました。皆さんもこの映画を観て、ぜひ家族で食卓を囲もうという気持ちになってくれたら嬉しいです。」と語った。

この映画に入る前にすでに原作を読んでいたという母役の石田ゆり子が「本当に素敵な物語」と語るように、実に幅広い支持を受け続ける原作者の瀬尾まいこ。しかし、この日の舞台挨拶に彼女は出席しなかった。「瀬尾さんは実際に京都の学校で教師をやっている方で、今日も授業があり、生徒が大事なのでということでここにはおりません。」(脚本・長谷川康夫)
こういった真摯な姿勢をもっている方だからこそ、同じく長谷川が「温かくて優しくてまっすぐなまなざしをもっている原作を、ぜひ読んでもらいたい」と語るような物語になるのだろう。

最後には主演の北乃きいが観客にメッセージを送り、この日の舞台挨拶を終えた。
「この映画を観た方はみんなとてもいい作品だと言ってくれているので、本当に素晴らしい作品なのだと思います。家族っていいなぁってあらためて思える作品ですので、一人でも多くの人に観てもらいたいです。」
(林田健二)