全校生徒1000人一緒に24時間かけて80キロ歩く。『夜のピクニック』はその80キロの道でのかけがえのない一瞬を見事に捉えた映画だ。本作を観て高校生の彼らと共に歩くことで、当時しか見えなかった風景を心に浮かべる人も多いだろう。
”全国の本屋さんが一番お客様に薦めたい本”として第2回本屋大賞を受賞した恩田陸原作の同名小説を原作として、作品の空気感はそのままに長澤監督の色を加えた映画版『夜のピクニック』の”1000人一緒に星空試写会”が九段会館で行われた。

九段会館のスクリーンに映し出されたのは、まるで星が輝く夜に歩行祭に参加している感覚におちいらせるような星の数々。MONKEY MAJIKが歌う主題歌「フタリ」が流れる中、次々と秋の星座を映し出して観客を魅了した。
出演者たちはそんな暗がりの中、映画の中同様に白いジャージを着てペンライト片手に登場し、会場を沸かせた。
主人公・貴子を演じた多部未華子さんは「この映画はすごく青春が詰まっています。私は今高校生なんですが、残りの学生生活を楽しまなきゃ!と思うようになりました。今、すごく楽しんでます!」と挨拶。
また、多部さんは映画の撮影前に歩行祭を実際体験することを提案したと言う。朝の11時から翌朝7時まで歩き通すというのは体力的に大変だったそうだが、大切な時間を過ごせたみたいだ。「最初は当たり障りのないことを話してたんですが、夜になるにつれて本音で話すようになりました。たった一日一緒に歩いただけで相手のことがすごくわかるようになったんです。ホントに不思議でした。」

長澤監督は小説の映画化についてこう語る。「この原作を読んだ時、ホントに小説としておもしろかったんです。1000人で80キロ歩くという設定は大変だと思いましたが、大変だからこそいいものができると思ったんです。映画化する時には、歩く部分を誤魔化さずに撮ろうと思ったので皆にはちゃんと歩いてもらいました。」

『夜のピクニック』で大切な人とゆっくり歩いて、あの瞬間を感じてみてください。
(umemoto)