9月16日(土)、『太陽の傷』がレイトショー初日を迎え、渋谷ユーロスペースにて三池崇史監督、出演者の哀川翔、佐藤藍子、森本慧による舞台挨拶が行われた。

理不尽な少年法を背景にして、娘を15歳の少年に惨殺された一人の男が、絶望的な怒りと哀しみを抱いたまま、大人たちに守られた少年の真意を確かめるため苦闘する姿を克明に描いていく。

娘を殺されてしまう片山役の哀川は、「少年法、少年犯罪をテーマに撮影しまして、これから映画を見て頂けると思いますが、痛かったです。皆さんもそれを感じていただけると思いますので、ゆっくりご覧になって下さい。」と挨拶。
保護観察官の滝沢を演じた佐藤は、「この保護観察官をやるにあたって、すごく悩むというか、それが本人滝沢にとってもすごく感情移入しやすい役で、そして久しぶりに映画という世界を満喫できて、映画は重いんですけど、楽しく充実した毎日を過ごすことができました。この映画を見て、いろんな愛というものを感じ取っていただけたらうれしいと思います。」と挨拶し、初の三池組参加について「監督はシャイでかわいい方」と監督の印象を語った。
少年役、キーポイントとなる森本慧は、「今回は初めての映画で難しい役で、貴重な体験をさせて頂いてうれしかったです。役は難しくて、でも特にそこまで考え込むことなく臨んだんですが、見ていただければうれしいです。」、「普段から緊張はしません。」と柔らかな物腰で答え、MCに男か女か分からないと言われると、「よく言われます」と会場の笑いを誘った。
三池崇史監督は、「結構ヘビーな作品です。体験型になっていますので、皆さんは哀川翔と一緒にいったん地獄に落ちて頂いて、映画の後半、更なる地獄に落ちていただくという。ラストに見える風景は、結局僕らでは、映画の上では答えが出せなかった部分がありまして、それは観終わった皆さんの心の中で風景をローリングの間感じていただければなと思っています。」と話した。

これを撮るにあたっての気持ちは?
三池「悪魔のせいにできれば楽なんですけど、残念ながらこの映画に登場する人間はみんな普通の人間で、一見狂っているように見える奴にも、そいつにとっては自分は普通でしかないという、別にビジュアル的にガンガン攻めることではなくて、どちらかというと、はっきり見せない、感じていただく仕組みになっているんですが、特に家族やお子さんがいる人には痛い見え方になってくると思います。その痛みを感じつつ、自分だったらその時次はこう行動するだろうというのと重ね合わせてもらえると、エンターテイメントといっていいのか分からないんですけど、たまにはこういう映画があっていいんじゃないかなと思っています」

最後にビシッと締めの言葉を!
哀川「できあがった作品に対してものすごく満足しております。自分が今回感じたことは、ちょっとした油断から大変なことになってしまう。物事というのは、被害者と相手と両方ありますが、自分たちのことは自分たちでがんばって守っていかないと大変なことになるなということは感じましたんで、今回この作品を通じて感じたことが多いです。皆さんも大人としてご覧になっていただければうれしいと思います。」

『太陽の傷』
渋谷 ユーロスペース にて  レイト上映中  
大阪 ホクテン座にて 10月21日より ロードショー

(M.NIBE)