9月16日、シネマート六本木で『ミラクルバナナ』初日舞台挨拶が行われた。
錦織監督が、バナナの紙でできた絵本を手にしたことから始まったというこの映画。貧困が大きな問題になっているハイチで、収穫後に捨てられてしまうバナナの木から、紙を作ることはできないかと奮闘する人々の奇跡の物語。

錦織監督は「愛知万博で上映する機会があったのですが、東京で公開することができて本当に嬉しいです」と初日を迎えた喜びを語った。
今でもドミニカを懐かしく思い出すという主演の小山田サユリは「撮影が大変で、公開できるのがミラクルのような気持ちです」とコメント。
撮影地のひとつであるベナン出身のアドゴニーは、中国に留学していた時のルームメイトが日本人だったことから、日本に触れるきっかけだったという。念願の日本映画デビューとなった今作について「この映画は、私の人生の宝物。この映画館だけでなく、洋服のコナカのように日本中で上映して欲しいです」という発言に会場は笑いに包まれた。
ハイチの日本大使館スタッフを演じた長谷川初範は「観た人の善意の気持ちが引き出される映画です。ハイチは、町中に絵がある色彩豊かな所。この撮影が無ければ縁の無かった国だと思います。映画を通じてこの国をもっと多くの人に知ってもらいたいです。」
長谷川演じる大沢の妻を演じた宮崎美子は「私と長谷川さんは、短い期間の撮影でしたが、とても楽しい現場でした。現地のスタッフと協力しながら気持ちの良く撮影できました」と話した。
暴動などの治安の悪化でハイチに行くまでに3年もの月日がかかったというこの作品。錦織監督は「まさか自分が撮る映画が世界情勢に左右されるなんて思ってもいませんでした。(笑)現地で貧しい中でも人生を謳歌している人々を見て、日本に住んでいる私達は本当に豊かなのだろうかと感じました。西半球で最貧国といわれる中ハイチのスラム街の中にある明るい笑顔を切り取った作品なので、楽しんで観てもらいたいです」と挨拶した。
(t,suzuki)