難病を抱える少女と孤独の中に生きる青年の悲しみの恋物語『雨音にきみを想う』。主演のディラン・クォが来日し、お台場ヴィーナスフォートにて300名のファンとファンミーティングを行った。

『アウトサイダー〜闘魚〜』などのドラマで一躍スターダムに飛び出した彼は、この『雨音にきみを想う』が初の映画出演。初めての映画での演技にはいくつもの苦労があったようだ。
 「テレビの演技と映画の演技はやっぱりちがくて、映画ではもっと内面で演じなくてはならなかったので、その点は特にチャレンジでした。それにセリフが少ないので気持ちを表情で演じなくてはならず、しかも監督があまりオーバーな表現をしないでくれと言っていたので、細やかな感情表現は大変難しいものでした。」

それでも初めて脚本を読んだ時、この映画に出演できることをうれしく思ったという。もともと悲しいラブストーリーが好きな彼にとって、この作品はぜひ演じてみたいものだったようだ。その中でも彼が特に気に入っているシーンがある。青年チョッカン(ディラン・クォ)と少女ウィンイン(フィオナ・シッ)が一緒に寝ているときに、チョッカンが泥棒ではないのかと疑っているウィンインが、チョッカンの部屋の金庫を勝手に開けるというシーンがそれだ。
 「金庫を開けたウィンインが目にしたものはお金なんかではなく、チョッカンの子供の頃の思い出の品だったのです。その中にはチョッカンの子供の頃の写真や、お母さんの写真が入っていたんですが、その写真は実際に僕のものなんです。だから僕にとっては非常に意義深いシーンですね。」

イベントではファンからの質疑応答の時間が設けられ、いくつもの質問がディラン・クォに投げかけられた。その質問に、時折覚えたての日本語を交えながら真摯に答える彼の姿は、非常に物腰が柔らかく紳士的で、自身初の出演映画のために集まった多くのファンに心から感謝しているかのようだった。
(林田健二)