9月12日六本木TOHOシネマズにて『涙そうそう』の完成披露試写会が行われた。
森山良子さんが亡き兄に捧げて作詞した歌を夏川りみさんがカバーしたことをきっかけに、全国各地そして今や世界各国でカバーされこの名曲は語り継がれるようになった。
「私の個人的な歌をりみちゃんが歌ってくれることでたくさんの人に聴いていただけるようになって、さらには映画まで生まれて、私の出発点が皆さんの元に届けられることを嬉しく思っています。」と、感無量といった様子。
会場では、森山良子さんと夏川りみさんによる特別生ライブが催され、会場はふたりの素晴らしいセッションにしっとりとした柔らかい空気に包まれた。

血が繋がっていない妹を必死に守ろうとする心優しい兄・新垣洋太郎を演じた妻夫木聡さんは、ライブ終了後にコメントを求められたが、込み上げてくるものがあったのか言葉につまりつつも「今までずっと関わってきた曲なので、おふたりの素晴らしい演奏を聴くことができてなんだか胸がいっぱいです。」と話した。
兄の愛情を一身に受けて育ってきた妹・カオルを演じた長澤まさみさんは「私はこの映画から誰かがいてくれるから自分がいるんだということを改めて感じることができました。これから観ていただく方にもそんな風に思ってもらえたら嬉しいです。」と、観客にメッセージを送った。

合宿状態での沖縄での2ヵ月のロケで自然と親交が深まった2人は、意識しなくても兄妹らしく演じることができるように。「妻夫木さんのまわりでは自然と笑いが起こっていて、本当に素敵なお兄さんでした。」と、笑顔で向き合う2人。
そんな2人の母・光江を演じた小泉今日子さんは「こんなに素直な兄妹がいたら母親としてすごく幸せだろうなと思いながら演じました。人を好きになりたくなる素敵な映画です。」と映画の印象を話した。

『いま、会いに行きます』で大ヒットを果たした土井裕泰監督は「キャストの方々の力はもちろん、沖縄と沖縄の人の温かさがすべてひとつになってできた作品です。悲しい結末だけではなく、根底に流れるもっとあったかくて優しい部分を感じてもらえたらと思います。」と作品への意気込みを語った。

「まさみちゃんが言うように人はひとりで生きてるわけじゃありません。この場を借りて今日来ている両親にお礼を言います!『いつもありがとう!』」という言葉とともに拍手が起こった。「私も兄ぃにぃを見習って、両親を呼んでいるんです(笑)。『いつもありがとうございます!これからも宜しくお願いします。』」と、長澤まさみさんもご両親に感謝の思いを伝えた。

なにがあっても人は支えあって生きていける。たとえ悲しい別れがそこにあったとしても…。血は繋がっていないけど、絆は誰よりも深い洋太郎とカオル。“涙そうそう”しながら2人の成長を見守ってください。

(ハヤシ カナコ)