1勝15敗1セーブ。お世辞にもすごいとは言えないこの成績を残し、韓国プロ野球界を去った投手カム・サヨン。この実在の人物を描いた『スーパースター★カム・サヨン』が9/9、日本で公開する。それに合わせ主演のイ・ボムスが来日記者会見を行った。

カム・サヨンは韓国プロ野球元年、サムミ・スーパースターズに入団した実在の人物。左腕というだけで採用され、登板は決まって敗戦処理。しかし、それでも好きな野球のために決して夢を諦めず、念願の1勝を挙げた。この作品は単なるヒーロー伝などではなく、華やかな成績を残すことができなかった3枚目の男の話だからこそ伝わる強いメッセージを持っている。そのカム・サヨンを演じたイ・ボムスはこの作品が初の1枚看板での主演。様々な役柄を見事な演技力でこなし、いまや韓国映画界では貴重な存在である。

「この映画の主演を演じた私がこうして韓国ではなく日本でみなさんにお会いできることを大変嬉しく思います。今日は作品の話をゆっくりと話して、有意義な時間を過ごしたいと思います。」

『ひとまず走れ』では実にワイルドな警官役を演じ、見た目にも2枚目の人物を演じた彼は、今回は逆に3枚目の男をリアルに演じている。その演技力は実に素晴らしいが、彼の演技の源は全て自分の分身であると語る。

「いろいろな役を演じてきましたが、ひとつひとつが僕の分身であると思います。どの役も大切な役です。全ての役が僕の中にあるものを一つ一つ取り出して役にいれていきました。」

自分の分身である様々な役柄の中でも、今回のカム・サヨン役は特に思い入れが強かったのではないだろうか。15年前にはセリフが1行しかないような状況の中、いつか自分だってという強い思いを抱いてがんばってきた。そしてついに1枚看板での主演を果たしたのがこの作品なのだ。スーパースター、カム・サヨンはまさにイ・ボムス自身であり、彼の生き方こそが夢を諦めないことの大切さを物語っている。
(林田健二)