宮沢賢治の名作を秋原正俊監督が映画化した『銀河鉄道の夜』の制作発表が都内で行なわれた。会場となったカフェには衣装をまとった主要キャストと監督が集まり、作品の世界観を会場いっぱいに広げた。
誰もが一度は手にしたことのあるこの名作の主人公・ジョバンニを演じるのは新進気鋭の演技派女優・谷村美月。なんと本作で初めての男子役に挑む谷村さんは男子高生の制服を着て登場した。「最初に台本を読んだ時は、どの役を私がやることになるのかわかりませんでした。初めての男の子の役なので緊張しています。走り方や歩き方を意識して演じてますね。弟を見て男の子のそういう動きを真似しようと思ったんですが、難しくて結構大変です。」と語った。
また、もう一人の主人公とも言えるカムパネルラには七代目市川男寅。本作が映画デビューとなる市川くんは「映画は初めてなので楽しみにしています!」としっかり思いを語った。

宮沢賢治と言えば岩手県だが、監督は場所には特にこだわらず東京や埼玉、果ては青森までといった広い範囲での撮影が進んでいるという。本作は監督にとっても一番紆余曲折がある作品で、その思い入れは強いものとなっているようだ。ジョバンニの役を谷村さんに任せたことについては「原作は小学生世代の子の話ですよね。そこに現代的なアレンジを加えて幅広く見せたいと思ったので、10代後半の子の回想を入れようと思ったんです。ジョバンニの役を高校生ぐらいの男の子に任せるとしたら”男”になってしまうと感じたので、女性に男装させることを考え始めました。男装が嫌味にならず、その上できっちりお芝居もできる人となると谷村さんがピッタリなんじゃないかと思ったんです。」と語った。

「銀河鉄道の夜」は愛され続ける物語だけあって、監督にも俳優陣にもプレッシャーはあるのだそう。この作品を支えるもう一つの要素である音楽を担当されている梅津和時さんは「「銀河鉄道の夜」は昔から思い入れのある作品なのでプレッシャーは感じていますね。できれば映像を見ながら音楽を作りたいですけど(笑)。どこの国かわからない、綺麗な音楽を作りたいと思っています。」と胸のうちを語った。

この日感じた空気を本編の『銀河鉄道の夜』で感じたいと思わせる制作発表会でした。

(umemoto)