丹羽貴幸監督の第1回監督作品『ユリシス』が9/23(土)からシネ・ラ・セットにてレイトショー公開することが決定した。それを記念して有楽町シネカノンにて先行上映と、監督、出演者によるトークショーが行われた。

ユリシスとはオーストラリアに生息するという青い蝶。その蝶を、子供を亡くした千景ら3人があてもなく探し続けるというのが本作の物語。千景を演じた奥菜恵は、その役柄のために撮影期間中ずっと殻に閉じこもってしまったという。
 「セリフがない中で子供を亡くしてしまった悲しみの空気を、どう出していったらいいのかばかり考えていました。だからずぅっと自分の殻に閉じこもってしまいました。」

しかしタイトルが美しい蝶の名前にもなっているように、作品自体も非常に綺麗なものに仕上がったという。
 「脚本を読んだ時、絵本のような、幻想的な感じを受けたんです。私自身、魂の浄化、そして昇華を感じました。それにオーストラリアの大自然の空気、色もとても綺麗なんです。」

丹羽監督もオーストラリアの美しさをおさめられたことに満足げな様子。
「日の出のぎりぎり前をとりたくて、2日チャレンジしたことがあります。キャストの皆さん、睡眠時間が短い中で協力してもらって。実際に撮れたその映像はほんとに綺麗ですね。」

そんな映画の美しさを象徴するように、ラストシーンは実に幻想的なものになっている。10人いたら10通りの感想を持つシーンだと奥菜は語った。そのシーンに自分が何を感じるのか、ぜひ確かめてもらいたい。
(林田健二)