8月28日主演市川海老蔵に最も縁のある場所歌舞伎座にて、『出口のない海』完成披露試写会が行われた。

軍の秘密兵器「回天」に乗り込み日本の危機を救おうとする回天乗組員の並木浩二役を務めた市川海老蔵さんは歌舞伎役者らしく壮麗な言葉遣いで観客に来場の御礼を述べた。「高いところから失礼いたします。お忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。子供の時から馴染んだこの場所で上映できることが本当に嬉しい限りでございます。汚名な点、未熟鍛錬な点もおありだと思いますが、どうぞ鷹揚のご見物をお願いいたします。」と、淀みなく一息でコメント。客席からは自然と拍手が起こった。

市川海老蔵さんは撮影にかなり体重を落として挑んだという。
並木浩二の父親、並木俊信役を務めた三浦友和さんは市川海老蔵さんとの初対面の時について、「最初会った時は格闘家かと思いました(笑)。こんな男の父親役はいやだと思いました。でも、撮影の時はちゃんと減量されていたので、やはりプロ根性がおありで、演じていても素晴らしい俳優さんだと思いました。」と話した。映画初出演とは思えない演技力と、並木浩二という男の存在感はぜひ劇場で味わってほしい点である。

軍の秘密兵器「回天」に志願した青年達を見て、イ号潜水艦艦長を務めた香川照之さんは、「シナリオを読んでいると最後のほうは本当に何度読んでも、涙が止まりませんでした。で、どうしても回天に乗り込む青年たちの役をやりたくなったので、監督にお願いしたんです!でも監督に『こんな年のとった乗組員はいません!』と一喝されてしまいました。」と、監督との爆笑エピソードを話した。
香川さんも佐々部監督作品に出演されているが、上野樹里さんは今回でなんと2度目。1度目の時は女優として駆け出しの時で、今回の出演はかなり緊張したとのこと。「監督になんとか成長したところを見て欲しくて一生懸命美奈子を演じました。」と、話した。

横山秀夫氏の作品を監督するのは2度目となる佐々部清監督は、「映画小僧の頃から敬愛してやまない山田洋次監督からお誘いいただいたこと自体、天にも昇る思いだったのですが、こんなに素晴らしいキャスト、そしてスタッフに囲まれ撮影することができました。たくさんの方々に観ていただきたいです!」と、意気揚々とコメントした。

会場には監督と同郷の安倍晋三内閣官房長官も来場!「哀しく過酷な青春、その想いが胸に迫る。」とコメント。佐々部監督、市川海老蔵さんと堅い握手を交わした。

(ハヤシ カナコ)