世界の中で、日本人が最も知らない日本の国宝、映画監督・溝口健二。没後50年を迎えた今年、命日となる8月24日に溝口健二の魅力を徹底検証する国際シンポジウムが行われた。出席した女優の香川京子、若尾文子は、溝口監督との出会いが、自分の原点だと語る。

 香川「非常に厳しいお方で、一つ一つのことをよく覚えています。溝口監督のおかげで今があると思います。めぐり合えたことが幸せです。」

 若尾「溝口監督の作品に出していただいたことで、わけがわからないくらいの苦しみを味わいました。でも、それでどうにか身についたことは演技の基本です。」

 今回の没後50年企画では、「溝口健二の映画」と題した映画祭も開催されるが、今まで溝口健二を知らなかった人たちがその才能に触れることのできるこの機会に、2人も非常に喜んでいた。

 若尾「こういった映画祭は本当にいいこと。映画というものは人間そのものを描くもの。そうすれば時代が変わっても残っていく。溝口監督の映画がまさにそれでした。

 香川「そうですね。監督の、人間の見る目、それをみてもらいたい。そして、若い方たちにもぜひ、知ってもらいたいですね。」

 9月9日から10月20日まで恵比寿ガーデンシネマで行われるこの映画祭。この機会に、ぜひ日本が誇る才能に触れてみてはいかがだろうか。
(林田健二)