シン・ハンソル監督『ケンカの技術』が8月20日シネマコリア2006、東京会場イイノホールにて上映され、シン・ハンソル監督による舞台挨拶とティーチインが行われた。
ある日、いじめられっこの高校生ピョンテ(ジェヒ)は隠遁生活を送っているケンカの達人に出会い、教えを請う。いくつもの試練、友情、そして彼自身の成長を描く青春アクションムービー。初めての長編となる今作品について「韓国でも多くの劇場で上映され、多くの方に観てもらいました。それが日本でも上映されて、とてもうれしいです。」と挨拶した。
上映後のティーチインでは、シン・ハンソル監督のほか、『まぶしい一日』のエピソード3『空港男女』の監督で共同脚本を行ったミン・ドンヒョン監督も登壇し、観客からの質問に答えた。

Q:短編映画ですでに実績のある監督が今回長編デビューとなった経緯は?
シン・ハンソル監督:短編映画を撮っている監督の大部分は長編を撮りたいと思っているが、私も同じです。長編は産業システムの中でやっていくので、短編をやっていたときのような自由さは無くなりますが、調節しながら、その中でも最大限自分がやりたいことについて最善を尽くしたつもりです。

Q:共同脚本のミン・ドンヒョンさんとは前から親しくしているのですか?
ミン・ドンヒョン監督:私とシン・ハンソルさんの映画が同じ映画祭で上映されたことがありました。他の監督はまともな作品で、2人だけ変な作品でした。自分だけエイリアンだと思っていたら、もう一人エイリアンがいたということでうれしくなりました。そういう縁があって、『ケンカの技術』を製作することになって、一人でやるより一緒にということでやるようになったのですが、監督の召使ということで位置づけてみました。

Q:その変な作品はどんな作品だったのですか?
シン・ハンソル監督:(ヤギ家族:直訳)性的に寂しいお坊さんと性的に非常に旺盛なヤギが演じる作品です。
ミン・ドンヒョン監督:宇宙からトマトを手に入れるためにやってきたエイリアンと小学生の対決です。

Q:シナリオについて
ミン・ドンヒョン監督:主人公の男の子・ピョンテはジュヒさんという俳優がキャスティングされましたが、シナリオのピョンテのイメージと違うと思いました。それはシン・ハンソル監督を主人公としてイメージしていたからです。

Q:監督が主張したかったことは?
シン・ハンソル監督:映画のテーマというか核心を一言でいうと、世間の人々にクズと思われる人も、英雄的な側面を持っていることを学生の目を通して描きました。どんな人間でも英雄的な面を持っているし、それを見つけた人が成長するのだと思います。
ミン・ドンヒョン監督:英雄というのはある瞬間に英雄としての姿を見せる。全ての人が見れば、いわゆる多くの人にとっての英雄になるし、一人だけが見れば一人だけの英雄になる。それが面白いと思いました。

Q:自由に映画製作できる環境があったとして本当にやりたいことは何か?
シン・ハンソル監督:次の作品は短編のヤギ家族のような感じの作品を準備しています。是非ご期待ください!

Q:これだけアクションの多い作品を撮るにあたっての苦労話は?
シン・ハンソル監督:アクションの連続で俳優は大変でしたが、主人公のピョンテ役のジェヒさんがケガをするというアクシデントが起きて一ヶ月入院し、撮影が夏から秋に季節が変わって、画面のトーンを合わせるのに苦労しました。撮影初期にアクシデントが起きたので俳優に高度な注文ができなくなり、季節が変わったことでフルショットでは見えてしまうという苦しいところもあったのですが、私達はこれで満足しています。

Q:ジェヒさんをなぜ主役にキャスティングしたのか?
シン・ハンソル監督:俳優として素晴らしい人ですし、ドラマにしても映画にしても素晴らしい役をしておりまして、感情の表現にしても瞬間、瞬間に表す力を持っています。ミン・ドンヒョン監督がいうように私が出てやるよりももっと素晴らしかったと思います(笑)
(M.NIBE)