「人の心を変えたい」。8月19日に行われたシネマコリア2006で、『もし、あなたなら2 五つの視線』プロデューサーのイ・ジンスクはこの映画をつくった目的についてそう語った。
前作『もし、あなたなら〜6つの視線』に引き続き、韓国の社会問題になっている障害者差別や非正規雇用などの様々な問題に一石を投じるべく制作されたオムニバス映画第2弾。前回に劣らず、錚々たる5人の監督がその名を連ねているが、テーマの重さに比べて作品は驚くほど受け入れやすいものとなっている。もちろん重い雰囲気の作品もあるが、その合間にあるコメディタッチの作品が115分のメッセージを僕らの中にすんなり流し込んでくれる。その点についてイ・ジンスクはこう答える。
 「5作品の順番についてはまず、試写会で観客の反応をチェックしました。そのチェックの上で基準として、テーマにどれだけ鋭利に接近しているかということがひとつあります。次にどれだけ観客がある意味面白く見ることができるか。また、難しいテーマばかりが立て続けに並んでも見にくいので、見やすいように。そしてやはり最後には力強い作品をもっていきたいという点を考えて順番を決めました。」
 5作品の中で最も観客の笑いを誘ったのが、4作目のチャン・ジン監督『ありがたい人』。現在韓国で最も熱く議論されている非雇用者問題を、今ではなく80年代の設定にして撮った作品で、学生運動で捕まった学生と、一風代わった拷問担当者とのやり取りを描いたものである。極めてユーモラスでありながら実は風刺たっぷりのこの作品について、イ・ジンスクは語った。
 「批判をユーモアとして訴えられる媒体というのは映画ではないか。そしてまたそれがとても上手いのはチャン・ジン監督ではないかなと思います。」

 第1弾、第2弾の高評価を受け、すでに第3弾が撮られているという『もし、あなたなら』シリーズ。第3弾では、有名監督ばかりではなくインディペンデント出身の監督も複数参加しているとのこと。僕らの心に訴える新たな視線がいつまでも作られ続けることを、この作品を観て願った。
(林田健二)