8月15日、上野一角座で約8ヵ月のロードショーをしていた『ゲルマニウムの夜』がとうとう千秋楽日を迎えた。
15日をもって上映は終了だが、製作総指揮の荒戸源次郎氏から、年末に自身の関わった作品と絡めての上映も考えていると発表した。「私たちは世間がどう思おうと、残したい映画を作って、一角座を建てました。240日間の上映が長いのか短いのかはわかりませんが、フィルムはお客さんを前にして初めて映画になります。終わりよければすべてよし、という言葉があります。本日はこんなにたくさんのお客さんに来ていただけて、本当にありがとうございます。」と、締めくくった。

今までの中で登壇者がもっとも多く、そして最終日ということもあり立ち見の観客も続出。
本作がデビュー作となる大森立嗣監督は「これからもこういう力のある作品を作りたいと思っているので応援宜しくお願いします。」と、話した。デビュー作で自分の作品のためだけに小屋が立ち、上映できることができた監督はそういない。この経験を生かして、次回作も私たちの心を突き刺すような映画を撮ってほしい。

シスター役の広田レオナさんも「監督は1作目はかなり贅沢な場所で上映しているので、監督として本当に羨ましいです。でも、監督って2作品目がだめだから期待してます!」と、エールを送っていた。

そして主演を務めた新井浩文さんも登壇。「この作品が初主演映画ということが嬉しい。今回が本当に極上のスタッフ、キャストだったので次回作はそれ以上のものを、と思ってしまうのでなかなか難しいです。でも自分は映画だけに出る俳優だと思っているので、これからも人を傷つける映画を作って行きたい。」と決意を新たにしていた。

舞台挨拶後には、キャストのサイン会も行われ、長蛇の列ができていた。『ゲルマニウムの夜』の上映終了を惜しむかのように、霧雨ふる中、一角座の十字架は最期の輝きを放っていた。

(ハヤシ カナコ)