どこにでもいるような家族、誰でも経験したことのある反抗期。決して嫌いではないのに父親や母親をうざいと感じたり、傷つけてしまったこと。そんなささいな日常をあたたかな目で見守っている映画『酒井家のしあわせ』。長編脚本が初となる呉美保監督の最新作である本作は、笑いと柔らかな感動がまるで家族といるような心地よさを感じさせてくれる。

酒井家の母親を演じたのは”ひとりコント”の持ちネタで、そして最近では歌唱力でも人気を博している友近。「初めての映画出演なのでダイエットしやなあかんかなって思ってましたが、役柄が41歳の２人の子持ちの主婦で(笑)。最初は私にない面も持っている役どころだったので、演じれるのか不安でしたが、いつもコントをやるようにキャラクターが自分に宿るまで台本を読み込みました。なので自然に演じられたと思います。」酒井家の父親、友近さんの夫を演じたのはユースケ・サンタマリアさん。ユースケさんとの共演について聞かれると「台本を読んだ時、監督には笑いのセンスもあるのがわかりました。そしてリアルな部分が自然に表現されてました。ユースケさんが酒井家の父親役をやると聞いた時はうまくいくことを確信しましたね。前から同じ匂いを感じていたんですよ。ユースケさんだけでなく、現場の皆の空気感が一緒だったのでいいものが出来たんだと思います。」と応えた。

酒井家の長男を演じたのは、これまでにもその印象的な演技力で注目を集めてきた森田直幸。映画では微妙な感情の変化を上手く捉えた演技を見せていたのだが、「自分に似ていたので、割とすんなり出来ました。」と演じた役について語った。「現場ではおもしろいことばかりでした。友近さんのシーンもユースケさんのシーンも、笑いをこらえなきゃいけないことが何度かありましたね(笑)。」

監督が映画を作り始めたのは映画のスタッフをしている中で、自分でも映画を作りたいと思ったからだと言う。「例えば誰かとケンカをしたり、悲しい気持ちになった時に一歩退いて客観的に見てみると、滑稽に見えたりするあないですか。あの感情が好きなんです。だからそういうものを感じてもらえる作品にしたいと思って、この映画を撮りました。」

この日舞台挨拶に参加できなかったユースケさんは「ずばり脚本に惹かれて出演しました。愛ってなんだ？家族ってなんだ？っていうのが表現されている映画です。」とビデオコメントをくれた。

そしてスペシャルゲストとしてハリセンボンの二人が登場！彼女たちのテンションと友近の掛け合いで会場に笑いを巻き起こした。

思わずくすっと笑って、ほろりとくる。そんな優しい映画『酒井家のしあわせ』を是非ご覧になってください。
(umemoto)