8月2日、『天使の卵』の完成報告会見が行われた。原作は、発売以来100万部の売り上げを突破した直木賞作家・村山由佳の『天使の卵 エンジェルス・エッグ』。
村山は、主演の市原隼人と小西真奈美を見て「歩太と春妃がそこにいる」と思ったという。『天使の卵 エンジェルス・エッグ』はこれまでにも30回程映画化の話はあったという。「今回、キャストを聞いて“これは諦められない”と思いました。」映画化について「原作の手触りや、何を伝えたいのかという核の部分を大切する気持ちがあったことが何よりも嬉しかったです。原作にないシーンも、私の描いた世界を外れることなく、生身の人間が演じることで豊かな作品になりました。原作にはないシーンで涙がこぼれました」と原作者から観ても満足度の高い作品となった様子。
去年の今頃からロケハンを始め、作品が完成してほっとしているという富樫森監督は「とても切なく悲しいピュアな話。いかに前向きな青春の再生の話にするかにに腐心しました。」主演の二人について「市川君は、今はこんな金髪になっていますが(笑)、とてもピュア。みぞおちのすぐ側に透明なものを持っていて、とても感動的でした。最終的に信じられると思うものを持っている人です。小西さんには、この映画にかける意気込みと、役にぶつかってゆく力強さを感じました。」
脚本の段階から作品に関わったという小西は、自分が出演した映画で初めて泣いたという。「原作を読んだ時、これを2時間で収めるのは難しいと思いましたが、原作を読んでない人も良い映画だと思えるように、皆で話し合い、勇気持って作品にしていきました。」演じた春妃について「精神科医という、身近にいない役だったので実際に病院に見学に行きって、話を聞き、大変な職業だと知りました。自分のせいで精神を病んで死んでゆく夫を見ながらも、そういう場に身をおく春妃の強さを感じました。」印象的なシーンについて「京都が一望できる展望台で、初めて歩太と打ち解ける場面。夜中に出発して朝日が出る時に撮影しました。『わあ、綺麗』というセリフがあったのですが、あのような場所でなければ、あれほど開放的な気持ちで演じられなかったと思います」と話した。
美大志望の浪人生の歩太を演じた市原隼人は「もともと物を作るのが好きなので、絵を描くのは楽しかったです。」歩太と市原自身については「年齢も近くて自分と似ています。演じる時は、自分のレールに役を入れてゆくので、難しいとは思いませんでした」と話した。思い出深いシーンについて「初めて本当のキスシーンがありました。緊張してドキドキしましたが楽しかったです。超緊張しました。(笑)」と笑顔で語った。

村山が映画に触発されて、春妃の妹・夏姫を主人公にして描いた小説「ヘヴンリー・ブルー」は2006年8月25日発売予定。
(t,suzuki)