短編コンペティション(3)では吉川信幸監督作『Hello Horizon』、樋渡麻実子監督『愛の矢車菊』の2本を上映。どちらも旅と人間を扱っている点では共通しているが、前者は青春ポップロードムービーとして、後者はドキュメンタリータッチで、と全く違った手法で描かれている。上映後のQ&Aでは『Hello Horizon』から吉川監督、脚本の丹波泰宏さん、出演、製作JUNさん、ヘアメイクの今西さん、『愛の矢車菊』からは樋渡監督が登壇して観客からの熱心な質問に答えていた。

<Hello Horizon>
Q:最後のシーンで上空からのシーンはどうやって撮影したのですか?
吉川:北海道の十勝平野で、熱気球を持っていって撮りました。JUNさんの知り合いに気球屋がいて、予算は5万円でした。

Q:フィルムで撮影したような質感でしたが、どのように撮影したのですか?
吉川:デジタルビデオカメラでフィルムっぽく見えるように撮影しました。

Q:この作品で何を訴えたかったのですか?
吉川:映画を作る時の目標は観客の心を動かすことで、毎回こういうことを言いたいと決めています。この映画では『幸せはすぐそばにあるんじゃないか?』それに気付いた時、人の心は動くんじゃないかと思って作りました。

Q:今後の予定は?
吉川:今年中には映画をやりたいと思っています。青春をテーマに大学生よりもうちょっと若い人を撮ってみようと思います。

<愛の矢車菊>
Q:この作品で何を訴えたかったのですか?
樋渡:この映画としては特にないのですが、いつもやるべきこととして、人間がうそにならないようにすること、最終目標は、いずれ風景だけで語りたいと思っています。

Q:タイトルについて
樋渡:当初タイトルは『髭の濃い女』でしたが、映画の中に髭の濃い女は登場しないのでやめました。ある日、夫が橋本治から書籍『愛の矢車草』を勧められたのですが、そのタイトルの草を菊に変えました。矢車菊はお酒の名前についていたのが気になったのがきっかけです。花言葉を調べてみましたが、大していい花言葉も無かったです。

Q:ドキュメンタリーにしか見えませんでしたが、苦労した点は?
役者ではなく、近所の人や、知り合いの知り合いに演じてもらっています。彼らに演技をしろと言っても不可能なので、要点を説明してから後からセリフを決めていきました。練習するにつれて彼らはその人達になりきり、最後は妙なアドリブも出てきて、妙なドキュメンタリーのようでした。

Q:中年の女性がいつも動物的に食事をしているシーンが印象でしたが、意図があったのですか?
樋渡:嫌いなキャラクターを作ったので、悪意を持ってやりました。
(m.nibe)

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2006 公式HP
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