『ある朝スウプは』でPFFアワード2004グランプリを受賞した高橋泉と『さよなら さようなら』で同準グランプリを獲得した廣末哲万の共同ユニット作品『14歳』が第28回ぴあフィルムフェスティバルのクロージングとして上映され、監督・主演の廣末さんと、本作の脚本を務めた高橋さん、そして主要キャストが舞台挨拶を行った。

14歳という危うくて繊細な年齢の子供と、そんな時期をやり過ごした大人という2つの視点で描いた『14歳』。本作は見事にそれぞれの年代の人物を描き出すことに成功している。14歳の目線から見た世界と、過去を完全に断ち切れずに大人になった人間が見る現実と過去は痛々しくも、なぜか美しい。
気づかずに人を傷つける瞬間。自分の中に潜む狂気が牙をむく瞬間。そして、もしかすると誰かの力になるかもしれない言葉。それらを丁寧に映像にした作品になっている。

またこの作品のもう一つの魅力は役者だ。香川照之さんはもちろん、監督や並木愛枝さん、藤井かほりさん、そして中学生を演じた子供たちが素晴らしい演技を見せてくれている。本作中で中学生役を演じたのは、ほとんど同年齢の子供たち。素人とは思えない印象的な演技を見せてくれ、説得力のある映像を作り上げている。

今までは週末だけ映画を撮っていたと言う廣末監督。毎日映画製作をするのは本作が初めてだったそうだ。「高橋と今日のこのスカラシップ作品上映という場を目指して作ってきました。皆さんに観て頂けるのはとても嬉しいです。一番の幸せは大好きで尊敬している役者さん達をキャスティングできたことにもあります。」と廣末監督。脚本の高橋さんは「脚本家としての力を存分に発揮しました。『14歳』は自信作です!」と話してくれた。

また、並木さんは「おそらく傑作だろうと思っています!この作品には14歳そのものの子供も映っていますが、当時のことをすっかり忘れてしまったようでも自分の中に14歳の自分がいる大人や、そのまま大人になった人もいます。14歳の頃を思い出して見てください。」と語り、
中学生の一人の母親を演じた藤井さんは「自分の14歳の頃をリアルに思い出しました。当時悩んでいたことや大切だったものを思い出して、これからそれを大切にしていきたいと思いました。心から映画を作ることを愛している人達が集まった現場で、お互いを想い合うという一番大事なことに触れることができて幸せでした!」と語った。

誰もが経験する14歳。その時あなたが見ていたのはどんな世界ですか?

(umemoto)