SKIPシティ国際Dシネマ映画祭 『スクジーテク〈小さな妖精〉』舞台挨拶、Q&A
本作を製作したトマーシュ・ボレル監督は、以前『ミモザ』というご本人のパントマイム集団を連れて来日したことがあるという。メッセージビデオでは「当時、日本の富山の演技祭で準優勝をしたことが今回の作品のベースになった。」と話した。会場には次回作のために、来日することができなかった監督の代役として監督の息子さん、トマーシュ・ボレルJrが観客からのQ&Aに答えた。
物語は、キャストのユーモラスな表情と観客に息もつかせないストーリー展開で進み言葉は一切なし。時折聞こえてくるのは、不思議で心地よい音楽と登場人物たちの叫び声だけだ。メインキャラクターの家族はみなそれぞれ個性的であるがゆえに、いたるところで問題を起こしている。小さな妖精スクジーテクは、少し寂しくなったり、ぶっきらぼうになった家族の前に現れ、ふっとした優しさを運んでくれる。チェコからの愉快なコメディが到着した。
Q:「お母さん役の方の表情の豊かさにびっくりしました。彼女はコメディアンですか?」
A:「彼女は父が80年代に創設した『ミモザ』のメンバーのひとりです。もう今では有名な女優さんです。今回のようなコメディだけではなく、いろんな役を演じられる素晴らしい役者です。」
Q:「まったくセリフがないのに伝わってくるものがありました。実際はどのように撮影されたのですか?」
A:「ここに父がいて皆さんに対して言うことは、きっと『言葉なしでも私達は理解しあえる』ということです。父の脚本には一応、『あー。いー。』というようなことは書いてあるんですが、演技するときは好きなように演じて下さい、と言われます。脚本はヒントであって、指示を与えるものではないです。あなたなりの演じ方でやって下さい、と言われます。」
Q:「食肉工場のシーンでエピソードがあれば教えて下さい。」
A:「視覚的なものでひどいシーンはないと思います。実際の現場ではとにかくにおいがひどくて、体格の良い照明係が吐いてしまうほどだったんです。撮影クルーも何ヶ月も肉が食べられないほど、その後に影響する撮影現場でした(笑)。」
Q:「チェコでは劇場公開されているのでしょうか?」
A:「一年前劇場公開されました。作品を作るには資金が必要なので、テレビ局に権利を与えて、資金を集めました。まだテレビ放映はされていないと思います。」
Q:「実際にピアスの穴は開けられたのですか?」
A:「舌の穴には5年前から穴が開いているんです。デジタル加工などを施しているわけではないですが、あのシーンで実際に穴を開けたわけではないです。でも、いっしょにいた男の子はあの時に穴を開けました。チェコ人は苦しまなくてはならないんです(笑)。」
Q:「スクジーテクは実際にチェコにいる妖精なのですか?」
A:「スクジーテクは父が考えだしたキャラクターです。私の祖父が5000体以上のマリオネットを収集するほどのコレクターだったので、父はマリオネットに囲まれて幼少時代を過ごしていました。その頃の影響がスクジーテクというキャラクターを体現しているのだと思います。スクジーテクは父のすべての映画になんらかのかたちで登場しています。それは、「なぜ命はあるのか?」という人間にとって最大の謎を具現化している存在でもあるからです。」
Q:「今後も俳優業はしていくのですか?」
A:「これから大学生になるので、無理に映画の世界に入り込もうとは思いませんが、そういう流れになればやってみようと思います。」
(ハヤシ カナコ)
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2006 公式HP
http://www.skipcity-dcf.jp/