グラウビュンデン(スイス)生まれのセーレン・セン監督長編デビュー作品『クスクス』は現実の状況である移民問題を人間模様に絡ませて描いている。今映画祭2回目となったQ&Aだが、前回同様、監督は熱心に観客からの質問に答えていた。

Q:主人公、研修女医カティアの父をどうしてウクライナからの移民に設定したのですか?
実際に元ソ連の難民で東ドイツへ逃れてきた人達がたくさんいます。移民の2世をフォーカスした理由ですが、カティアの父がいくらロシア語で話しても、娘はドイツ語で答えるように、彼らにはもっとドイツ人になりたいという強い願望があります。私は実際にそのように振舞う方を知っています。

Q:不法滞在者をアルジェリア人女性サイダに設定した理由は?
アルジェリアは今までも複雑だったし、今も複雑です。彼女は強いけど一人ぼっちです。そのような状況でも自分の道を見出していく姿を描きました。

Q:スウェーデンは移民にとって状況が良い国なのでしょうか?
サイダはアルジェリアから従兄弟のいるスウェーデンに向かう途中のドイツで捕まりました。状況が良いという理由から描いたわけではありません。

Q:移民と人間模様をどのように絡ませていったんですか?
確かに絡ませようと意図しました。移民が社会にどう統合していくかということを新聞等でよく見ます。映画の中の女医は、彼女は移民が社会に統合できると思っていますが、それは簡単ではありません。こういった政治的な問題が、個々の人間、人生にどう関わっていくのか作ってみたかった。問題に直接関わった時に、驚きという感情を表現しました。

Q:折鶴、空手、日本食レストランなどのシーンが出てきますが、日本に関する思い入れは?
日本に来るのは初めてです。今まで日本に対するファンタジーがありましたが、実際見て、想像以上のものがあると気付かされました。

Q:監督の今後の予定は?
共同で色々な脚本を書いています。スイスとチェチェンの合唱団をテーマにした映画を来年の春に監督する予定です。

(m.nibe)

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