カナダのバンクーバーを拠点に活動している劇団、エレクトリック・カンパニー・シアターの演劇の基づいて作られた映画『ザ・スコア』。本作は遺伝子の研究をストーリーの中心として進んでいくが、ミュージカルやロマンスの要素などを取り込んだ非常にユニークな映画になっている。
この映画の誕生はバンクーバーにある遺伝子研究所に映画化を委託された2000年まで遡る。当時行われた学会で“アートを通じて遺伝子の世界を理解してもらいたい”という想いが発表されたのだ。
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭では劇団員でもあり、本作で重要なキャラクターを演じ、また共同脚本家も務めているジョナサン・ヤングがQ&Aを行った。

Q:カナダの映画を観ると、カナダ人は自立しなければならない!という意識があるように感じることがあるのですが、本作では意識されました?
ジョナサン:「意図せずにそのようなテーマがあったのかもしれませんね。ストーリーは映画化を委託された遺伝子研究所の実体験が元になっているんです。今回映画化するに当たってはドラマ性を持たせました。」

Q:サウンドトラックが素晴らしいですね。これは演劇の段階で作ったものなんですか?映画のために作ったんですか?
ジョナサン:「演劇作品だった時に作った音楽なんです。遺伝子配列と楽譜の音符をなぞらえるところもオリジナルの時から我々が探求していたものです。あえて作曲家という存在を映画の中に入れたのは科学が解明できない、神秘的なものがあることを彼によって強調できると思ったからです。」

Q:デジタルで撮られた作品ですが、すぐにいろんなものを取り込めることを意識しましたか?
ジョナサン:「意図的に配慮はしませんでした。監督たちは実験的にデジタル技術を使ったところがあると思います。野心的なプロジェクトでした。少しの予算で質の良いものを作れたのは、デジタル技術の恩恵ですね。」

Q:ラジオのインタビュウで「どの人生が生きるのに値するのか?」という質問がありました。映画の中ではヒロインのマグヌソン博士個人としての答えはある程度出ていると思いますが、科学的な観点での答えは出ていないようでした。その点は話し合われましたか?
ジョナサン:「私たちはその答えを得ることの困難さに出くわしました。多くの科学者や研究者、またハンチントン舞踏病の患者さんと話をしました。その結果、知らないでいいことなんだという結論に至りました。ここで注目してほしいのは、マグヌソン博士のようにいつもはどんな答えも見つけ出せる立派な科学者であっても、答えが見つけられない問題もあるんだということなんです。それに、その答えを出すには私たちは不適切だと思います。」

(umemoto)

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2006 公式HP
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