トルコ共和国の領土、アナトリア半島にある小さな村を舞台に、映画監督を夢みる二人の若者を描いた『スイカの皮からの旅立ち』。今作品が初の長編作品となるアフメット・ウルチャイ監督は、これまで8本の短編を製作。『スイカの皮からの旅立ち』は、独学で映画を勉強し、現在もトラックの運転手をしながら映画製作をしているアフメット監督の伝記といえる物語だ。ちなみに、作品中で監督は床屋として出演している。
上映後のQ&Aには、プロデューサーのベルース・ハセミアン氏が登壇。「小さなカメラで撮影されましたが、とても強烈にイスラムとトルコの世界が描かれている作品です」と語った。

Q.主人公は戦争で父親を亡くしている設定ですが、具体的にどの戦争を指しているのですか。

ハセミアン「監督は主人公が孤児であるということを強調したかったのだと思うので、具体的な戦争は指してないと思います。監督の出身地は、炭鉱と農業の町。その中で孤児でありながらも、困難を乗り越えてゆく姿を描きたかったのだと思います。」

Q.物語が現代のトルコではないようですが、いつ頃が設定なのですか。

ハセミアン「監督の子供時代の設定なので、今から30〜40年前の話です。」

Q.設定が30年前とのことですが、現代の町並みで撮影されていると思います。それは、田舎町は当時も今も変わっていないということでしょうか。あと、トルコではどういった形で上映されたのでしょうか。

ハセミアン「あのような田舎の風景は、確かに当時も現在もありますが、風景には特別こだわっていないと思います。アンカラや、イスタンブールでは、アフメッット監督が作るような精神性を重視する作品はあまり好まれないので、残念ながらトルコの劇場では公開されていません。ただイスタンブールの映画祭では、多くの観客の関心を得ることができました。トロントの映画祭でも紹介され、3ヶ月前からはフランスで上映され、ドイツでも公開されます。」
(t.suzuki)

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