2005年、韓国興行成績№1を記録し、800万人を動員。心も体も疲れきった人々がトンマッコルの自然と無垢で純真な人々に癒されていく、というヒューマンストーリーが、韓国の人々の心を打ち、日本でも今年10月に公開という運びとなった。
そして、21日有楽町朝日ホールで行われたパク・クァンヒョン監督と久石譲氏の舞台挨拶が予定されている完成披露試写会も、主催者側の意図を大きく上回る試写希望者が訪れ、立ち見が続出した。

「こんなにたくさんの人に観ていただけるなんて光栄です。このように舞台に立つと、お互いを褒め合うことが常ですが、私たちの間ではそうすることが真実です。本当に緊密な関係で仕事をすることができました。私やスタッフはまだまだ、未熟な一方、音楽監督は久石譲先生という巨匠という、ミスマッチなタッグを組むことになりました。でも、そこには私たちの真心と真の気持ちがつまっています。そこを組んで観ていただければ、と思います。皆さんに幸せな時間が訪れますように。」と『トンマッコルへようこそ』の作り手として、私たちの心にすっと入る優しい言葉を並べるパク・クァンヒョン監督。

その監督をじっと隣で見守る久石譲氏。「初めて韓国映画の仕事に携わりました。本当にやってよかったなぁと思ってます。台本を読んでいて、戦争というテーマを扱いながらも人間味あふれるストーリーに触れ、『ぜひ監督に会いたい!』と思いました。」と話す。

「私は小さい頃から、久石先生の音楽を聴いて育ちました。作品のシナリオを書いているときも、この作品には久石先生の音楽しかないと思いました。震える思いと、『もしことわられたら』という怖い気持ちで先生宛てに手紙を書きました。そして、OKの返事を頂いた時は本当に嬉しくて、今までにない雄たけびを上げてしまいました(笑)。」と、製作秘話を話す監督の笑顔が印象的だ。

「良い映画にしか良い音楽はありません。音楽だけがいいということはありえない。今回、こんな素晴らしい作品に出会えて、本当に嬉しい。監督には作品の細部までのビジョンがあり、これほどまでに明快なビジョンを与えてくれる監督はいません。」と韓国ではまだ新人監督であるパク・クァンヒョン監督を絶賛。

負けじと監督も「『トンマッコルへようこそ』を音楽なしで観たときはただの小道具のようにしか見えなかったものが、久石先生の音楽が入るとまるで命を吹き込まれたかのように、大きな、感動的で神秘的な映画になりました。こんな風に変わるのか、と大変感動したことを今でも覚えてます。」と久石譲が紡ぎだす音楽の力を語った。

「本当にいい映画です。後半からラストにかけては、泣けます。皆さんには本当にリラックスしてこの映画の持つ素晴らしさを堪能していただきたいです。」と、『トンマッコルへようこそ』の大ファンでもあり、音楽監督を務めた久石譲氏は熱い思いを観客に告げる。

現在、自国の映画祭で9部門にノミネートされている『トンマッコルへようこそ』。10月公開のさいには、純朴な製作スタッフが創作した心の“ふるさと”に帰郷して疲れた心身を癒してはどうでしょうか?
 
(ハヤシ カナコ)