『ファインディング・ニモ』や『モンスターズ・インク』で世界中に暖かい感動と興奮を贈りつづけてきたディズニー・ピクサーの最新作『カーズ』の日本公開にあたり、ジョン・ラセター監督と製作者であるダーラ・K・アンダーソンさんが来日記者会見を行なった。

監督にとってもピクサーの人間にとっても個人的で、ユーモアとハートがある作品『カーズ』。本作が生まれるきっかけとなったのは、監督につい最近起こった出来事だったそうだ。「1990年代、私はピクサー作品を3本手がけていました。ずっと仕事ばかりで家族との時間が持てなかったんです。そんな時、妻がそんなんじゃ子供達の成長を見逃すわよ、と私に言いました。はっとさせられた私は『トイストーリー2』を撮り終わった後、キャンピングカーをレンタルして家族で無計画な旅に出ました。初めての充実した毎日で、あれから人生観が変わりました。『カーズ』はそこから学んだことがテーマになっています。大事なのは目的地ではなく、そこに行き着くまでの過程から何かを得ることなんです。」

ダーラさんが世界中に紹介できる友達だ、という本作のキャラクターの声をアメリカ版で担当しているのは名優ポール・ニューマンやオーウェン・ウィルソン。「あのポール・ニューマンが我々のアニメで声を担当してくれたなんて未だに信じられません。私は監督なので録音の時もクールにしていないとダメなのですが、内心は興奮していました(笑)。彼は本当に素晴らしい俳優で、声だけでなく顔の表情でも演技してくれ、それは私達アニメーターにインスピレーションを与えてくれました。」キャラクターたちのそれぞれの目や口にもそれは生かされていて、俳優とキャラクターの目を同じモノにするというこだわりを見せている。

またこの日は日本語吹替え版でメーターを演じた山口智充さんが登場。「子供の頃から働く車が大好きだったので、この作品に参加させてもらえて本当に光栄です!出てくるキャラクターは車なんですが、見ているうちに人間のように感じました。ホントにいいヤツばかりですよ!」と語った。一方監督は頭にメーターをつけた山口さんに興味津々。「彼はファンタスティックだね!世界で一番素敵なメーターですね。メーターは忠実な友人を象徴しているし、彼にはピッタリです。」と語った。

老若男女、観客を楽しませる為に、製作過程でも楽しみながら作っているというピクサーの次回作はシェフになりたいネズミのストーリー。彼らはこれからも変わらずに感動を私達に与えつづけてくれるだろう。

(umemoto)