「お客さんには優子ちゃんの視点になって、周りにいる俳優さんがみんなかっこよくみえるといいな、と思います。」と主演でありながらも、控えめに、言葉を選びながら話す寺島しのぶはまさにこの作品の“優子”と重なる。廣木隆一監督とは2度目のコラボとなる。「寺島さんは芝居が上手いのに、感情で動いてくれるからすごくやりやすい。豊川さんとは一度いっしょにお仕事をさせていただきたいと思っていたので、今回できて嬉しかった。すっとハマってくれた。」と主演の2人への思いを話した。

映画の中で、優子の従兄弟でありながらも、恋人とも友達とも、なんともいえない時間を過ごす2人について、「この2人はひとつのカテゴリーにはあてはまらないんです。でもそういうはっきりしないあたたかさがあるから、皆さんに気に入っていただけだのではないか、と思います。」と豊川悦司は話す。

ストーリーの中で、優子を取り囲む様々な男達。
この状況設定について「男の人たちに囲まれることはここちよくて、その中を漂って、会話を楽しんでました。それぞれの男に求めているのはバラバラなので、優子ちゃんの話し方とか衣装もバラバラなんです。そういう部分でも楽しいことが多かったです。」とコメント。優子を囲む男の1人、勃起障害を患う本間役の松岡俊介はこの役を演じることの複雑さを「まったく普段と違う役ですからね。ガン患者とかそういった役をやるうえで必要な想像力をフル回転させました。あとは、妄想をキープして・・・家にも役を持ち帰ってました。優子は本間にとって、自分が弱っている時の救いだったんですよね。」と語る。
知的な痴漢役を演じた田口トモロヲさんは「ふわふわした関係の中、僕と優子の役が最もはっきりしてたんじゃないか、と思います。だから2人の間での境界線もはっきりしていてとても割り切った関係なんですよ。」と話す。

廣木隆一監督と、初めての共演であったり、数回の経験があったり、少しブランクがありと監督との共演をそれぞれの形で果たした俳優たち。そんな彼らが口を揃えていうことは「監督が作り出す現場の空気がなにより自分達をリラックスさせる。だから、良い演技ができる。」という言葉。
俳優陣からこれほどの絶大な支持を誇る廣木監督はこの作品をどうとらえているのだろうか。
「『ヴァイブレータ』からのつながりもありますが、作品の撮り方や演出方法もまったく違います。頑張っている女性ももちろん素敵です。でも、ちょっとやわらかくなってもいいんじゃないか、と思って作りました。スクリーンが小さくても長く観てもらえれば嬉しいです。」と場を締めくくった。

監督に愛され、俳優に愛される『やわらかい生活』。
肩の力が抜けていく解放感、感じてみませんか?

(ハヤシ カナコ)