5月20日タカシマヤタイムズスクエアにて映画「雪に願うこと」の初日舞台挨拶&特別イベントが開催された。本作は第18回東京国際映画祭で、グランプリ・監督賞・最優秀監督賞・観客賞という初の四冠を達成した大作。連日の雨が上がり、行楽日和のこの日でも、会場は観客でいっぱいだった。

登壇者には根岸吉太郎監督、伊勢谷友介さん、佐藤浩市さん、吹石一恵さんが登壇した。この作品をきっかけに公私ともに連絡を取り合う仲になった、伊勢谷友介さんと佐藤浩市さんは舞台挨拶でも絶妙な掛け合いで会場を盛り上げた。役柄でも兄弟という設定のお2人。今は打ち解けていても弟役の伊勢谷さんは、佐藤浩市さんとの共演初日、緊張して20回以上もセリフ噛んでしまったらしい。

伊勢谷友介さん:「緊張してがちがちの僕に浩市さんが言うセリフが『おめぇ、なにしにきたんだ?』でめちゃめちゃ怖かったんですょ。本当に!今考えれば被害妄想かもしれませんが(笑)」
佐藤浩市さん:「けどこの男本当に緊張してるのか?っていう感じだったんですょ。その日に、僕が伊勢谷くんを殴るシーンがあったんですが、この男直前まで馬房で寝てたんですよ。」と撮影秘話も飛び出すほどの、仲の良さ。
根岸吉太郎監督:「その慣れていく感じもこの映画の流れの中で必要なものだったので、良い方向に進みましたよ。」と監督は上手く合いの手を入れる様子も、撮影期間中の雰囲気を漂わせた。

当日、仕事の都合でくることが出来なかった共演者の小泉今日子さんについては

伊勢谷友介さん:「小泉さんは優しいオーラを持っているのと同時に鋭い感覚も持ち合わせている方でしたね。控え室にいる時、『誠実ってなんだろう?』っていう話題にたまたまなって、小泉さんに『あなたにないものじゃない?』って言われました(笑)心に穴があきましたね〜。」と小泉今日子さんの意外な一面を明かしていた。
佐藤浩市さん:「小泉さんは映画の中で、お母さんといった役どころなんですか、本当に彼女がどーんとかまえていてくれるととても安心しましたね。」
吹石一恵さん:「小泉さんに愚痴るシーンがあったんですが、すごく包容力を感じてプライベートの相談もしそうになってしまいました。」
根岸吉太郎監督:「女優さんは大体の方が実年齢よりも若い役をやりたがるんですが、小泉さんはそういうことを気にせず、演じてくれました。この映画では小泉さんのかっぽうぎ姿が見れる希少なシーンもありますね(笑)」

当日は映画にも大関役で出演し、監督もしている津川雅彦さんも登場!根岸監督に花束贈呈をした。「根岸監督は本当に巨匠です。監督の作業はすごく細かい。だからこそ、演技するほうも良い芝居ができるんです。今日の入りが続くことを願っています。」とコメントした。

そしてタカシマヤタイムズスクエア1Fの特設会場にて北海道からやってきた“ばん馬”リッキーとのフォトセッションも行われた。会場の熱気にびっくりしたのか、落ち着きのないリッキーと写真を撮るのに一苦労。この映画の主役でもある馬を撮影をすることも、このくらい大変だったのだろうか、と思いを巡らせてしまった。

輓馬(ばんば)が重いソリを曳きながらきつい障害を2度越えていくばんえい競馬。観る者は思わず引き込まれ、自分の人生を重ね合わせる。矢崎学(伊勢谷友介)は都会の虚栄に憧れ、一度ふるさとと家族を捨てた男。その学が東京で挫折し、故郷で厩舎を営む兄・威夫(たけお)と不器用に対峙する。極寒の北海道、馬の吐く真っ白な息、13年ぶりに再会する母、厩舎の人たちとのふれあい・・・。厳しいながらもいのちに囲まれ、地に足をつけた暮らしの中で、学は自分の弱さを直視し、再生へのきっかけを掴んでいく。

5月20日テアトルタイムズスクエア、銀座テアトルシネマ、シネセゾン澁谷他全国公開中!