4月25日(火)『胡同のひまわり』のチャン・ヤン監督と主人公・シャンヤンを演じた9歳の男の子チャン・ファンくんが来日し、記者会見を行なった。

本作は北京の街並みが失われていく胡同を舞台に、そこに生きる父と子の関係を3つの時代(1976年〜、1987年〜、1999年〜)を通して描いた作品。監督は『こころの湯』で全世界を感動させた、中国の若き名匠チャン・ヤン。
1976年の時代というのは文化大革命の終わった時代。どんどん変化が余儀なくされていく中国を背景に親子の物語を描いた。

今回は大きく3つの時代にわかれていますね。
監督:「70年代というのは両親にとって苦難が多い時代でした。子供にかまう時間や気力がない時代で、子供にとってはたぶん自由で幸せでした。当時のしつけは少し暴力的なものが多く、政治的な面が反映されていたように思えます。80年代は開放政策がどんどん進んでいった時代でした。外国のものがどんどん流れ込んできて、子供と親の世代同士の衝突が鮮明になったようでした。90年代は経済的な発展が目立ち、全てはお金で判断され、貧富の差が激しくなりました。」

監督は18歳まで胡同に住んでいたそうですが、シャンヤンと重なる部分はありますか?
監督:「この作品では、私の少年時代の視点から見た時代変化を描きました。自伝ではないのですが、ディテールは記憶や経験から作りました。当時は四合院に住んでいました。それは子供ながらにおもしろかったですね。99年に壊されてビルになってしまいましたが。」

胡同はどのように映りましたか?
ファンくん:「実際四合院に住んでいるんです。とても便利なとこですよ!すぐに外に出れるし、花も植えられるんです。」

人と人とのつながりをどのように感じていますか?
監督:「昔の家は住みにくかった。生活はとても不便でした。都市文化に変化していくにつれて生活文化も変わっていき、ゆったりしたリズムがなくなり、人間関係も変わってきたように感じています。昔は生活を分かち合い、皆が大きな家族のように暮らしていました。でも、そういった意味でも今では人間関係が疎遠になってしまったようです。」

文化大革命などといったものは日本人には理解してもらいにくいのではないでしょうか?
監督:「この映画では30年を通して、中国の大きな変化を描きました。この映画を見れば文化大革命のようなことも理解してもらえるようになっていると思います。それに、父と子の関係は世界共通なものでしょう?共感してもらえると信じています。」

メッセージをお願いします。
監督:「30年にあたる父と子のわだかまりを見て、一人一人自分の家族のことを想ってください。きっと思い当たることはあるだろうと思います。自分の影をスクリーンの人物に映して、苦しみも喜びも悲しみも感じ取ってもらえると嬉しいです!」

また、『胡同のひまわり』公開記念としたスペシャルメニューやスペシャルデザート「甜心」の販売も決定。映画と共に味わってみては?

(umemoto)

□初夏Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー
『胡同(フートン)のひまわり 』