2月16日(木)今年の話題作『V フォー・ヴェンデッタ』でヒロイン、イヴィーを演じたナタリー・ポートマンが来日記者会見を行なった。

本作は製作/脚本『マトリックス』3部作のウォシャウスキー兄弟、主演ナタリー・ポートマン、ヒューゴ・ウィービングによる前代未聞の革命エンターテインメント。
舞台は第三次世界大戦後の世界。あらゆる異端者が排除され、ファシズム国家となったイギリスに出現した仮面の男、コードネーム「V」。労働者階級のイヴィーは、絶体絶命のところをVに助けられる。図らずもVの協力者となったイヴィーだが、Vの素性が明らかになるにつれて、イヴィーは自分自身についての真実をも知るようになる・・・。

今回7年ぶりに来日したナタリー・ポートマン。本作について、また彼女自身について語ってくれた。
この作品に惹かれた部分はどこですか?
「娯楽性があって、中身もあるところですね。いろんな質問を投げかけるけれど、答えはでないんです。一生考えても答えが出ないのが1番いい質問だと思います。いい暴力というのはあるのか?正当化できるのか?こういうことを観て考えてもらえる映画です。もちろんただ2時間観て楽しんでもらうこともできます。」

映画の中で髪を剃られてしまいますが、実際スキンヘッドはどうでしたか?
「もともとやってみたい気持ちはあったんですが、勇気がなくてできなかったのでチャンスだと思いました。ただ、カメラの前で本当に剃ったので、本番の1回きりしかチャンスがなくて集中しなくてはいけなかったんです。いい経験になりました。スキンヘッドにした後で困ったのは、町を歩いていると人に見られて身元がバレてしまうことでした(笑)」

イヴィーという役柄についてどう思われましたか?
「映画の中で彼女は変わっていくんです。政治を怖がっていたのが、暴力で自分の考えを伝えるようになる。ユニークな道のりでそこに行くのですが、それが彼女の意思なのか、誰かの操作なのかもハッキリしなくて。イスラエル出身の私としては、なぜ人間は自分の考えを表現するのに暴力を使うのかということに興味がありました。」

ヒューゴ・ウィービング扮するVは最後まで素顔を見せませんが、そういう相手と演じることに何か努力されたんですか?
「ヒューゴは素晴らしい俳優で、顔が隠れていても身ぶりや存在感や声で考えていることが伝わりました。それに、彼はいつも傍にいてくれたので心を通わすことができました。仮面の下に何があるのかというのは役者としてやっています。映画を観てくださる観客の方にも仮面の下はわからないのですから、同じ感情で見るお芝居ができました。」

今回は『マトリックス』チームに参加されましたが、何か新しい発見はありましたか?
「ウォシャウスキー兄弟は頭が良く、エゴがなく、皆チームという感じでした。誰のアイデアということなく、あらゆるアイデアにトライし、ベストのものを使っていました。とてもいい心を持っている方々で、ハリウッドにビッグな娯楽作品でも中身があるものを見せてくれました。」

1番お気に入りのシーンは?
「ダークな映画なので、軽いシーンが好きです。人間どんな最悪な状況でも必ず笑うことができるし、そうすることは必要です。映画の中で軽いシーンがダークなシーンのコントラストになって引き立てています。」

今女優を続けているのはなぜですか?
「必ずしも一生続けるわけではないです。今は演技をするのが楽しくて、満足してやっています。演技をすることは社会的に有意義です。社会人として他人を思いやる心を育てるんです。例えば映画を観て、人はその映画の中の人物を生きます。そうやって他人の感情を感じているんです。他人の気持ちを考えるということは他人を思いやる気持ちを育てます。そういう意義のある社会的機能を持った職業に携われて幸せです。」

(umemoto)

□4月29日 渋谷東急・新宿東急ほか全国松竹・東急系にてロードショー
『Vフォー・ヴェンデッタ 』