ヒトラー政権に立ち向かった二一歳の女性ゾフィーの勇気に世界中の観客がすすり泣いた感動の実話。ベルリン国際映画祭では三冠を達成し、監督のマルク・ローテムントは国内紙で注目すべき十人の監督に選ばれている。初日舞台挨拶にはマルク監督と、元白バラメンバーのフランツ・ミュラー氏とミュラー氏の奥様が登壇した。

フランツ・ミュラー氏は元白バラメンバーとして、私達に当時の様子を語ってくれた。
「リバティー、それが私たちが、世界中の方々に送りたいメッセージです。たとえ話す言葉が異なっても、自由に言葉を交わす自由はあるべきなのです。ヒトラー政権が勢力を持っている時代、それは当然禁忌されていたことでした。ドイツ青年はヒトラーユーゲントに入ることが義務づけられていて、そのことに不満を持つ同士はたくさんいました。そして、私達は友情を育み、やっと辿り着いたカトリック教会のオルガンの裏で、ヨーロッパは『平和』に統一されなければいけない、という強い確信のもと秘密裏に行動を開始したのです・・・。話が長くなってしまいましたね。(笑)」当時の人が話す言葉には、私達が話す言葉よりも重さがある。私の心には「リバティー・・・」という言葉が初めてしっくりときた瞬間だった。

マルク監督は「作品のメッセージ、『つまり弱者のために戦うこと、そして彼らに親身になり強い者に対して勇気を持って抵抗するということ』が、世界中の人々に理解されていることは、非常に嬉しく思います。このプロジェクトに参加できたことを誇りに思います。しかし私はあくまでも裏方役に徹したいと思います。この映画を支えているのは素晴らしい演技を披露してくれたユリア・イェンチであり各出演キャストであります。そしてまた、本日朝早くから観にきていただいて本当にありがとうございます。本国では朝10時15分から映画を観ようとする人はいないでしょう(笑)。ぜひ、感想をまわりの方々にお伝えください。」
と、ミュラー氏にも負けない作品への熱い思いを述べた。

有楽町朝日ギャラリーではゾフィー・ショルと白バラ展が2/3〜2/8で行われる。映画鑑賞後、こちらに足を向けて思慮を深めてみてもいい。

(ハヤシ カナコ)

日比谷シャンテシネにてロードショー中
◇作品紹介◇
『白バラの祈り – ゾフィー・ショル、最期の日々 』