天才的パーカッショニスト、エヴリン・グレニー。8歳の時に聴覚障害を発症し、12歳の誕生日を迎えるころには殆ど耳が正常に機能しなくなる。そうした中でも音楽を奏でることを喜びと感じ、音楽家を目指しイギリスで最高級の音楽大学である王立音楽院に入学。クラシック音楽シーンへとデビューし、多くの一流指揮者やオーケストラと共演。2度のグラミー賞を獲得しており、今年度のグラミー賞にもノミネートされている。
1月27日、エヴリン・グレニー独自の音の世界を記録したドキュメンタリー『Touch The Sound』の来日記者会見が、日枝神社にて行われた。
記者会見には、タップダンサーの熊谷和徳も登場。エヴリンのパーカッション演奏とタップとのセッションが披露された。
神社での演奏についてエヴリンは「いつもと違うスペースで演奏ができて、素晴らしかったです。熊谷もとても才能のある人で、最初言葉の壁という不安がありましたが、その心配も必要の無いものでした」と話した。

『Touch The Sound』はトーマス・リーデルシェイマー監督がエヴリンの演奏に魅了され、「音を感じる映画を作りたい」という思いから製作された作品。エヴリンは、【音】について「同じ音をとっても、聞く人の場所、聴く姿勢によって感じ方は様々です。今まで、何気なく聞き過ごしていた音でも、集中して聴くと、今までとは違う世界がみえてくるはずです」
また、エヴリンは、演奏活動以外にも聴覚に障害を持つ人々の教育にも取り組んでいる。「聴覚障害を持った子達も、楽器の演奏などで音に触れるうちに、だんだんと感受性が豊かになっていきます。現代の多くの人は、音楽を耳のみを使って聴いていますが、音というのは、耳だけでなく、体全体で感じることが大切なのだと思います」。

『Touch The Sound』は、タイトルとおり、“音楽に触れる”という意味。映画の中で、我々はエヴリンと共に、日常に潜む様々な“音”を発見し、体のあらゆる感覚を通して音を感じるということを知るだろう。
(t,suzuki)

★3月11日より、ユーロスペースにてロードショー

公式HP『Touch The Sound』<