1月25日(水)映画『PROMISE』の主演・真田広之(以下S)/チャン・ドンゴン(D)、監督・チェン・カイコー(K)、制作/出演・チェン・ホン(H)らの来日記者会見が行なわれた。

今回、真田さんとチャン・ドンゴンさんは囚人と奴隷という関係ですが、呼吸を合わせるために気をつけたことは何ですか?

S:今回は二人のバランスが大事でしたね。幸い良きパートナーに恵まれたので、意識的に何もしなくても平気でした。最初に会った時から意気投合して。二人とも中国語を学ばなくてはならないことも友情の助けになりました。半年のコミュニケーションで、言葉の壁を意識せずスムーズに演ることができました。本番では異国語を話しているという感じではなく、心と心でコミュニケーションが取れましたね。

D:真田さんとは多くの共通点があったので、スタートする前から通じ合えました。あえて努力しなくても自然に心が通じたんです。共演できて、演技というのは心と心の通い合いだということを改めて知りました。

K:お二人はアジアを代表する大スター。アーティストとして、アジアでどういう文化環境を作れるか挑戦しました。

H:現場ではプロフェッショナルなのにオフの時は子供っぽい一面もあって、楽しくてユーモラスたっぷりな方々ですね。一緒に作品を作ったことはいい経験になりました。

最初から日・韓・中の俳優を起用しようと考えていたのですか?
K:まさにアジアの大作映画を作ろう!と思っていたんです。関心があったのは演技よりも、文化の背景が違う何も知らない環境でどんな気持ちを持って動くのか、ということ。
環境作りに気を使いましたが、彼らはしっかりした演技を勇気をもってしてくれたので、一種の壮絶感すら感じました。

何か印象深いエピソードを教えてください。

S:CGなしで信じられない映像を作る環境にいることは、役者冥利に尽きました。この組ならではの贅沢さ。中国語という難関はありましたが、国境を乗り越えて学びあえる、尊敬し、理解しあうことは人生経験としても素晴らしかったと印象に残っています。

D:この映画では私が走るシーンがたくさんあるのですが、一気に8月中に撮ったんですよ。1ヶ月ずっと走りつづけました。幸い、この後の映画では体重を落とさなければいけなかったので、その点ではよかったです(笑)奥地の撮影の時は、屋上で真田さんと子供のようにキャッチボールをしてました。

H:私の役は今まで中国映画に登場したことのない役だったので、難しかったです。目を瞬くなと監督に言われて大変でしたが、1つの大きなチャレンジでした。

真田さんとチャン・ドンゴンさんはまた共演される約束をなさったそうですが、今後どのような役を考えていますか?

S:昨日PROMISE(約束)したんですけど(笑)。まだ具体的には話してないです。でも、逆転は無理ですね。私は今回みたいに悪い役を極めて、彼にはひたすらヒーローをやってもらいます(笑)

D:是非共演したいです。この撮影で仲良くはなれましたが、もっと近づくには時間が必要です。今回は時代劇の要素が強かったので、次は現代モノでお互いの魅力を引き出せるような映画がやりたいです。

中国語を覚えるコツはありますか?
S:コツはとにかく繰り返すこと。寝ても覚めても口ずさむこと。現地で言葉ができないと撮影できなかったので、火事場の馬鹿力ってやつですね。でも、やればやるほど中国語の奥深さを感じて、学ぶことが楽しくなりました。

D:今回の映画で中国語は大きな悩みでした。中国人の声優の方に自分のセリフの部分を録音してもらって、それを常に聞いてました。発音もイントネーションも難しかったけれど、なんとかやることができて今は満ち足りています。

K:励ましを言うとすれば、このお二人の素晴らしい経験が実例ですね。語学では完璧を求める態度を持つのが基本。基本は大事です。

H:大事なことは1つに努力。もう一つは好きなことを見つけることですね。見つかれば語学は上手くいきます。

『PROMISE』はエンターテイメント性が高いファンタジーですが、この作品を撮られた動機は何ですか?
K:時代は21世紀。映画文化はいろんな変化をしなくてはいけないと思います。日常に新しい創造性を持って、新しい作品を作ることは必要。今回の作品は、原点に戻って生活においての自分の運命を決める機会や、新しい何かを生み出す意欲になりました。

昨年アメリカで発表されたゴールデングローブ賞では、外国語映画部門にノミネートされた『PROMISE』。本作は第56回ベルリン映画祭に出品されることが決定しており、また世界約40カ国での上映も決定している。
そしてエンディングに新カットを導入した、日本オリジナルバージョンでの公開も決定。このオリジナルバージョンは『PROMISE』の<人はもう一度やり直すことが出来る>というテーマを明確に打ち出すための、監督によるディレクターズ・カットとして上映される。

(umemoto)

□2月11日、サロンパス ルーブル丸の内ほか全国松竹・東急系にてロードショー

『THE PROMISE—無極— 』