12月24日、『自殺サークル』の園子温監督最新作『奇妙なサーカス』初日舞台挨拶が行われた。

実の父親・剛三(大口広司)に抱かれる小学生の美津子(桑名里瑛)。美津子はそれを忌むべき近親相姦とは知らず、ただ心が病んでいる。母・小百合(宮崎ますみ)は美津子を女として嫉妬し始め、剛三を奪われまいと今まで以上に剛三とのセックスに耽る。その歪んだ関係は次第にエスカレートし、美津子は剛三に抱かれている間、母・小百合の心を宿すようになる。

海外での高い評価を得ている園子温監督。初日がクリスマス・イブということで「イブにわざわざこの映画の為に足を運んでくれた奇特な人達がいてくれて有難いです」と挨拶。来年のベルリン国際映画祭での上映が決定している今作について「今の面白くない日本映画に対して、核弾頭のようにぶち込んだだ作品になっています。世界中の人に観てもらいたいです」監督に逐一相談しながら役作りをしたという、いしだ一成は宮崎ますみについて「休憩時間にチョコレートをパクパク食べてたのが印象深いです。(笑)演技では、ぐいぐいと引っ張てもらいました」作品については「園子温ワールドが炸裂していますので、楽しんでください」美津子の中学生時代を演じた高橋真唯は「カット割りがなかったので、舞台のようでやりやすかったです。このような特殊な映画は一生に一度出会えるかどうかだと思うので、貴重な経験ができました」作品がサーカスみたいで感激したという不二子は、高橋真唯との共演シーンについて「美津子(高橋真唯)が可哀想だな、申し訳ないなと思いながらいじめていました(笑)」ゴージャスな衣装で映画同様に舞台挨拶に登場したレジーヌは「いつもは夜の仕事をしていますが、監督がこの格好を目に留めてくれて、出演が決まったので、派手な格好はしておくものだと思いました(笑)撮影で、客役はみんな遊び友達なので、パーティーみたいで楽しかったです」美津子の父親役の大口広司は「“本当に娘をやっちゃうのかよ…”と思いながらやりました。作品は最高だと思います」

また、病気療養中のため舞台挨拶に登場できなかった主演の宮崎ますみより「園監督は、嘘やごまかし、醜さ、甘美さを、そのまんま容赦なくフィルムに焼き付けてゆきます。まったく恐ろしい監督とめぐり合ったと思いますが、闇を描ける監督は実は深い愛を知っている方だと思います。映画を観た皆さんが、闇の中から光を見つけ出してくだされば、演じたかいがあります。どうぞ楽しんでください」とのメッセージが伝えられた。

最後に、監督は「今後もPTAや良識のある大人を怒らせるような映画を作っていけたらと思います」と、今後も変わらぬスタンスで作品製作に取り組む意欲を語った。
(t.suzuki)

☆2005年12月24日、新宿トーアにてロードショー

□作品紹介『Strange Circus 奇妙なサーカス 』