NHKの人気番組『プロジェクトX』の主題歌として大ヒットした中島みゆきの“地上の星”。この歌の世界観に深く感銘を受けた唐十郎が書き下ろしたのが映画『ガラスの使徒(つかい)』だ。

はるか彼方の星をとらえる“天体望遠鏡”の為に巨大なレンズを磨き続ける伝説のレンズ研磨職人と、ガラスの化身ともいえる美しい少女の儚くも切ない交流を繊細な映像でつむいだ、大人のメルヘンとも言える本作。
公開初日の12/17(土)、東京都写真美術館において主演の佐藤めぐみや監督等を交えた舞台挨拶が行なわれた。
 
唐十郎の脚本を幻想的なタッチで映像化したのは、「夜を賭けて」の金・守珍監督。「この日をむかえる事ができて感無量です。僕は唐さんのもとで芝居をしていたので、恩師である人と一緒に仕事が出来たことは緊張したが嬉しかった。」とコメント。
また今回映画初主演となる佐藤めぐみは「撮影前にロミオとジュリエットの、あのバルコニーのシーンを覚えて二週間特訓を受けました。最初は戸惑いだらけでしたが、今思うとすごく役立っています。監督はとても優しくて、稽古中も撮影中も溺愛されてました!」と言うと照れくさそうに監督は「僕があと20年若かったらプロポーズしていました。」と返答し、会場の笑いをさらった。

脚本、そして出演もしている唐十郎は「非常にポエティックな、神秘劇の様な素晴らしい作品になった。」と喜びの表情。そして劇中に唐が尻でガラスを磨くシーンがあるのだがそれに関して「本物の名人はガラスを指紋で磨くんです。だから僕はどうしよう?と悩んで、対抗する為に尻にしました(笑)。」と言うと監督も「以前ドラマで唐さんが尻を見せるシーンがあって、それが素敵だったんです。とてもデリケートな部分だし、だからデリケートなガラスを磨くのは尻がいいと思って。」と経緯を語った。

今回スクリーンデビューである稲荷卓央は、監督が彼の舞台を見て気に入り抜擢。「撮影中の様々な事を思い出しながら今日は映画を見ました。本当に嬉しい、こうやって沢山の方が来てくださって感動しています。唐さんと一緒に仕事をして、改めてその凄さに驚きました。多くの人に見て欲しい」と語った。
佐藤は「私の10代最後の全てを掛けた作品。これがベースとなり演技の幅が広がりました。口コミでどんどん広めてください。そして5〜6回は見て下さい!」
金監督は「忘れられた物、捨てられた物が再生するエネルギーが唐作品の魅力。これは演劇人が発する映画です。より多くの人に見てもらいたい!」とアピール。

また最後に本作にも出演した唐の愛娘が会場から飛び入り参加。
嬉しそうな唐の隣で「難しい作品ですが、何回も分かるまで見に来てください!」とアピールし会場は大拍手となった。

  (桜井裕子)

☆ 12月17日(土)東京都写真美術館ほか全国順次公開

★作品紹介★ ガラスの使徒