東京フィルメックス2005:コンペティション『無窮動』
監督は『北京好日』(92)『スケッチオブPeking』(95)『アイラブ北京— I Love Beijing』(00)で変わり行く北京を描いてきたインニン。『無窮動』では近年の中国社会の変貌に鋭く迫る。旧正月の祝いに集まった4人の女性達のおしゃべりは他愛も無い会話から思わぬ感情の吐露にまで発展してゆく…
タイトルである『無窮動』は、女性の限りない心の中の欲望を“同一音型が間断なく続く”という音楽の形式で表した。監督の周囲にいる魅力的で存在感のある女性達を映画という枠に収めたいと思ったのが作品製作のきっかけだという。今日の消費社会における、いわゆるモダンな女性というのは、“美しく、若い”というリアリティのない存在となっており、監督は作品では、ある世代を通じてその実態に迫っている。「経済的に成功を願っており、実現した人々でも、内面にはタブーの領域を抱えていいます」
作品の終盤、狂ってしまう女性について「彼女は、精神世界を重んじている女性。しかし、そういう人たちは現代では生きにくい。行き抜く為には、狂った状態にならざるをえないのです。ここ15年で中国は大きな変貌を遂げている。そして、我々は今だかつて誰も歩いたことのない道を歩いてます。果たして、これが我々が欲していた社会なのか」『無窮動』には物質社会に対する監督の疑問が提示されている。
今作品は中国では3月8日の婦人デイに公開予定であるとのこと。
監督は「この作品は大きな爆弾となるでしょう」とどこか挑戦的な笑顔で語った。