東京フィルメックス2005:コンペティション『あひるを背負った少年』
中国、四川省。農村に住む17歳の少年が、6年前に家族を野押して都会へと出て行ったきり、消息を絶った父親を探しにいく。住んでいるはずの住所に父親はおらず、少年は幾多の苦労の末に遂に父親を探し当てる。しかし家に戻ることを拒む父親に対し、少年はある行動をとる…
これまで数多くの短編映画を発表してきたイン・リャン監督の長編デビュー作。
Q.洪水のシーンは実際のものを使ったんですか?
「洪水のシーンは、ニュースフィルムからとりました。撮影した四川省は洪水が多い地区で、97年にも大きな水害がありました。予算的の都合上、人工的に雨を降らせるというのが難しかったので、大雨のシーンは7,8ヶ月、大雨の日を待って撮影しました」
Q.アヒルの演出で苦労した点はありますか。また、出演者達について教えてください。
「アヒルは農村から買いました。最初は彼らは演技は全くできませんでしたが、段々と撮影にも慣れてきて演技ができるようになり、愛着が湧いてきたので、撮影後も食べることはせずにお寺に引き取ってもらいました。出演者については、80%がプロデューサーの親戚で、彼らには本職があるので、都合に合わせながらの撮影は10ヶ月を費やしましたチンピラ役の人は、実際ショバ代を取り立てて人で、はじめに映画の出演依頼をよく理解せずに、ショバ代を取り立てる為に呼ばれたと思っていました(笑)」
主人公と同じように、自身も少年時代に父親と別れを経験したというイン・リャン監督。父親との決別の思いをまとめというこの作品は。終盤の父との決別を象徴するシーンが印象的な、少年から大人への成長を描いた物語となっている。
(t.suzuki)
□作品紹介『あひるを背負った少年』