僕達は生きる歓喜を知った。
なぜか捕虜収容所で———

11月21日、都内にて『バルトの楽園』制作発表記者会見が行なわれた。作品は第一次世界大戦中の徳島県鳴門市の俘虜収容所に、軍人でありながら、生きる自由と平等の信念を貫き通した所長、松江豊寿(まつえとよひさ)の指導によって、ドイツ人捕虜達が所要所員や地元民と文化的・技術的な交流を深め、ベートーベン作曲の『交響曲第九番 歓喜の歌』を日本で初めて演奏したという奇跡的な実話をベースに描かれる。

記者会見には主人公、松江豊寿を演じる松平健、その妻歌子の高島礼子、収容所の副官の國村隼らが登場。映画の中で、ドイツ語を話す松平健は現在ドイツ語の特訓中とのこと。まだ撮影は始まったばかりで、この日がドイツ人の俳優達との初対面となった。ステージ上で握手を求めてくるドイツの俳優の気さくな姿に、安心して一緒に撮影に臨めそうだと松平健。また、舞台が徳島県鳴門市ということにちなみ、俳優たちも一緒に波踊りを踊り、ステージはまるでお祭りのような華やかさに彩られた。

仕事の都合上、記者会見には来日できなかったが、ドイツの少将役には『ヒトラー〜最期の12日間〜』でアドルフ・ヒトラー役を演じ、ドイツ映画界を代表する国際的名優ブルーノ・ガンツが演じる。今作は、既に全世界での上映も決定しているとのこと。約90年前の知られざる奇跡的な事実を、壮大なスケールで描がれる超大作に期待したい。
(t.suzuki)
☆2006年6月東映系ロードショー