10月28日、東京国際映画祭コンペティション部門出品作品『雪に願うこと』の記者会見が行われた。

主人公矢崎学は都会の虚栄に憧れ、一度ふるさとと家族を捨てた男。学は経営していた会社を倒産させてしまい、派手な生活、妻、友の信頼などすべてを失ってしまう。行き場を失った学は、ふるさとである北海道・帯広に戻るしかなかった。そこには、北海道独特のソリを曳く競馬“ばんえい競馬”の厩舎を細々と運営する兄・威夫がいた。兄の厩舎で個性あふれる仲間たちと馬と共に寝起きする生活。厳しいながらも命に囲まれ、地に足をつけた暮らしの中で、学は自分の弱さを直視し、再生へのきっかけを掴んでいく——。

根岸吉太郎監督は、鳴海章の原作「輓馬」を読み、生命力溢れる作品に惹かれたとのこと。久々の出演者達との再会に「2月の寒い北海道で、期待と不安の中、初めて顔を合わせた時のことを思い出しました」映画祭での上映については「輓馬には馬が重い荷物を持って駆け上がる2つの大きな山があります。我々にとって撮影が1つ目の山、そしてこの映画祭で2つ目の山を登り、公開というゴールを目指しています。この映画祭での誕生の日を暖かく見守って欲しいです」

主人公、矢崎学役の伊勢谷友介は「撮影で皆さんにはたくさんのものを貰いました。それが観る人に伝わればと思います」

矢崎学の兄威雄役の佐藤浩市は、「馬の生命力やダイナミズムがフィルムに焼きついています。その生命力の周りでちまちまと生きている人間を観て貰えると思います」

厩舎の賄い婦、晴子を演じた小泉今日子は「心の母親的存在の役に選ばれるようになったことを嬉しく思います。晴子の目で見ると、男って可愛いなと思いました。(笑)早朝、馬の体から湯気が上り立つシーンをスクリーンで観て、生き物の暖かさを感じ、そんな暖かさのある映画に出れたことを嬉しく思います」

女性騎手を演じた吹石一恵は「2ヶ月間、撮影がない日でも毎日馬に乗っており、とても濃密な日々を送れました。皆さんにこの映画を好きになってもらいたいです」
作品は、2006年 テアトル系にて、全国ロードショー!
(t.suzuki)