『ビューティフルボーイ』
本作は、実話に基づく感動の物語である。

かつて化粧をし、試合前に女性らしいしなやかな踊りを舞い、対戦相手の頬にキスをする、最強のムエタイ選手がいた。神聖なムエタイを汚す行為だと非難する者もいたが、彼は幼い頃から自分の事を男の身体に生まれてしまった女だと信じ、本当の自分を捜し求めていたのだった…

本日、映画『ビューティフルボーイ』のプロモーションの為に来日した、この映画のモデルで現在は女優として活躍しているパリンヤー・ジャルーンポン、元ムエタイ選手で俳優へと華麗なる転身を遂げ、本作で主役パリンヤー役を演じたアッサニー・スワン、監督のエカチャイ・ウアクロンタムを招いての記者会見が行われた。

Q.アッサニーの印象は?
パリンヤー:「彼が私の役をやってくれてとても嬉しいです。私の女性らしさを上手に表現してくれたからです。100点満点中なら100点をあげたいくらいです。」

Q.演じる前と、後ではパリンヤーの印象は変わりました?
アッサニー:「演じる前は飾り物のような印象でしたが、演じた後はパリンヤーのムエタイの強さを知る事が出来たので見直しました。また、パリンヤーの人生についても色々と考えさせられました。」

Q.今回このような難しい役どころで初主演を務めた事については?
アッサニー:「確かにとても難しかったです。撮影中パリンヤーは“私の女性らしさをちゃんと表現してくれているだろうか?”と何度も観に来ました。なので彼女からGOサインがもらえた時はとても嬉しかったです。」

Q.パリンヤーのどういった部分に惹かれ、彼女の半生を映画化しようと思ったのですか?
監督:「実は、前からパリンヤーの人生には興味があったのです。でも映画化するには不安が多く“ならば実際に彼に会ってみよう”と思い会いに行ったのですが、そこで感じたのは性同一障害で今までどれだけの葛藤や矛盾があったのだろう…という事です。そこで、彼女のハートの深さも全て映画で表現していきたいと思い、製作に取り組みました。」

Q.現在は女優として活躍しているパリンヤー自身が、本人役で出演する事は考えませんでしたか?
監督:「その考えもありましたが、彼女を使うと予算がかかってしまうので…冗談です(笑)そうですね、アッサニーは新人だったので不安ももちろんありました。だから彼がもしパリンヤーの女性らしさを上手く表現する事が出来なければ、パリンヤー本人に出演してもらおうという考えもありました。でもそんな不安はよそにアッサニーは最優秀主演男優賞という名誉ある賞まで取ってしまったんです。この賞は新人では滅多にもらえない賞なのでとても驚きました。彼はとてもよくやってくれました!」

その後、花束贈呈で会見の場に登場したのは、本作に本人役で登場している女子プロレスラーの井上京子さん。彼女は、以前パリンヤーと日本武道館で対戦した事もあり、今回は本作の撮影以来の顔合わせだと言う。「最初に会った時にはまだパリンヤーは性転換手術はしてなかったんですよ。でも本作の撮影で久し振りに会って、とてもきれいな女性になってるからビックリしましたよ!私よりきれいになってるから少しジェラシーさえ感じます!」と冗談を交えながら女性に生まれ変わったパリンヤーの印象を語った。

会見中にこやかな笑顔を振りまくパリンヤーはとても美しく、本来の自分を見つけた自信と喜びでより一層輝いていた。

(菅野奈緒美)

※2005年10月、シネマスクエアとうきゅう他にて全国順次ロードショー!

『ビューティフル・ボーイ 』