毎年夏に、劇場未公開の韓国映画を上映し、好評を得ている<シネマコリア 2005>が8月20日(土)・21日(日)東京イイノホールにて開催されている。

今映画祭の最初の作品となる『黄山ヶ原』は、三国時代に新羅と百済の間で繰り広げられた「黄山ヶ原の戦い」にまつわる悲喜劇を笑いと涙で描いた、異色の歴史コメディ。

当時の唐、高句麗、新羅、百済、倭(日本)の政治的な関係が、現在の東アジアを取り巻く情勢と酷似している点に注目した政治風刺劇でもある。

舞台挨拶・Q&Aにはプロデューサーのチョ・チョリョンさんが登場。この作品は国内向けに作った作品で、海外で上映されるとは夢にも思っていなかったとのこと。映画は、国際的な争いを背景にした作品だが、それをテーマにしたわけでない。
韓国の選挙は二つの地域で対立しており、地方色がとても強く現れている。しかし、そのことについて、各々の地域の人は、地域とは関係ないと言っている。そういった地域色について、映画で表現できればと思い、この映画は企画されたという。

—— 笑えるところの多くある作品ですが、韓国では笑われて、日本では笑われなかったシーンはありますか

「韓国でも日本でも、大体同じ反応です。正確に物語を理解してもらえたと思っています」

—— 戦の中で、悪口合戦が出てきて、ある地域の人達が悪口を言うシーンがありますが、その地域の人は悪口を言うのに長けているということはあるのですか

「その地域の人は、口が悪いというよりも強烈な部分があります。映画が公開されて、その地域の人達に告発されてしまいました。(笑)その為、ビデオ・DVD化する時には、最後にことわりを入れています」

—— 映画ではいくつもの方言が出てきますが、三国時代もそういった方言が話されていたのでしょうか

「言語学的には、テレビや交通手段の乏しかった昔は、今よりも、ずっと方言がひどく、通訳が必要なほどだったようです」

—— イ・ジュニク監督について教えてください

「私とは20年来の付き合いです。以前はマーケティングの仕事をしていました。10年前に、一度映画を撮ったのですが、結果的に失敗してしましまい、今回は、それ以来10年ぶりに監督を務めています」

—— 韓国では、新人監督が多くて、一度目で失敗すると2度と撮れないと言われてるそうですが、イ・ジュニク監督も10年振りに監督を務めるということで、大変だったのではないでしょうか

「韓国では、監督デビューはとてもしやすいと思いますが、デビュー作が引退作となる場合も多いです。(笑)今回は、イ・ジュニク監督人柄のお陰で、仲間が集まり、良い作品が出来ました」

—— この作品は女性がほとんど出ていませんでした。男性ばかりの現場はどのような様子だったのでしょうか

「私も監督も女性がよくわからないので、女性を出演させたとしても、変な女性になってしまいます。(笑)製作現場も女性がいないので、自然と女性のいない作品になってしまっているのだと思います」

—— 日本は、様々な文化が受け継いでおり、物事をあいまいにしている国だと思います。昔、関が原の戦いという東西の戦いがありましたが、今はその戦いについては意識されることはありません。韓国には昔から儒教というものが重んじられ、物事をきっぱりと決めたり、昔のことを忘れないようにし、三国時代のことを現在も清算しているようですが

「儒教的な倫理があるのかといわれると、「虎は死して皮を残し、人は死して名を残す」というセリフにあるのかもしれません。しかし、現在の韓国は、1997年のIMFにより大きく変わりました。最後の妻のセリフで「虎は皮のために死に、人は名のために死ぬ」というセリフがありますが、それは今までの固定化された観念が覆されたこと表しています」
(T、S)

<シネマコリア2005>
7/30(土)より、名古屋・札幌・東京・大阪にて順次開催!
 日本初公開&未配給の新作韓国映画を4作品一挙上映!
 全作品日本語字幕付
□公式HP