今月12日から始まったGTF 2005 TOKYO CINEMA SHOWトーキョーシネマショー。そのスペシャルイベントとして、「ジャーナリスト筑紫哲也が探る映画の“今” 映画はいつも私たちに夢と希望を与えてくれた!」が最終日の8月18日(木)に開催された。進行役に筑紫哲也さん、そしてゲストとして『半落ち』『チルソクの夏』『四日間の奇蹟』を手掛け、最新作『カーテンコール』の公開が控えている佐々部清監督、『カーテンコール』出演女優の藤村志保さん、そして特別ゲストとして俳優だけでなくライターとしても活躍している香川照之さんが登場した。

 実はこのトークショーの前に「筑紫賞:ゴールデンタイトルアワード」(従来、流行語の宝庫となっていた映画の日本語タイトルを再度見直そうと、この1年に公開された映画を対象に“最も優れた日本語のタイトル”を表彰するというもの。第一回目である今年の受賞作品は『箪笥(たんす)』。)授賞式が行われた。その流れで印象的な「日本語タイトル」について語っていく4人。「『太陽がいっぱい』ですね。最後のシーンでなるほどと思いました」と語ったのは佐々部監督。続けて『カーテンコール』についても「(タイトルが)横文字なんですが、人生の幕が上がっていく、明日に向かっていく映画ですので、いいタイトルだと思っています」。ちなみに『半落ち』は原作と同じタイトルだが、「『中落ち』と間違われないか(笑)」と映画化にあたってタイトル変更の案もあったそう。
 また『若草物語』が印象的なタイトルと話した藤村さんは、出演作『Turn over 天使は自転車に乗って』が『二人日和』と改題し、上映されることが決定している。「多分“日和”って今の学生は読めないと思います(笑)。でも『箪笥』と同じでそれがインパクトを与えるんですね。それで“日和”という言葉を知って、漢字に込められている意味を感じたりもできる」とは筑紫さん。藤村さんも「改題の方がいいタイトルだと思います」と続けた。
 一方香川さんは、洋画では『風とともに去りぬ』を、邦画では『北の零年』『戦場のメリークリスマス』を挙げ、「『風〜』は英語タイトルの壮大さを訳せているところがすごいし、『北の〜』も行定監督が表現しようとした壮大さがでてる。『戦場〜』も戦場とクリスマスってすごい単語を組み合わせてますね」と解説。
 
 そして話題は『カーテンコール』へ。本作は昭和の映画全盛時代と現代を舞台に、生き別れとなる親子の再会とそれを支える人々の交流が描かれる感動作。隣の席同士で試写を見たという筑紫さんと香川さんは「昭和という時代が良く出てる。それが自分の生きてきた時代と重なって、2重、3重で楽しめます」、「佐々部監督なので人間ドラマがしっかりありましたね。親子3代が舞台に上がるところとか理屈なしに感動しました。背景関係なしに引き込まれました」と、世代が違う2人だがどちらも感動したようす。佐々部監督は「『ニュー・シネマ・パラダイス』のような作品を一生に一度撮りたいと思っていたんです。僕の大学時代の同級生が書いたショートストーリーが基になってます。でも家族愛が書きたくなったので2部構成みたいな作品になりました(笑)」。「昭和は力強いものがあって、それをなんとかスクリーンに映し出したかった。だから銀幕でずっと活躍していた人をキャスティングしたり、美術にこだわってみたりしました」と細部まで気を配ったことを明かした。

「今、日本映画は元気があるといわれているけれど言いすぎではないかなと。確かに前よりは元気はあると言えますが、まだまだ改善の余地があると思うんです。まず映画は脚本が練れてないいといけない。下手な大工でも立派な設計図があればちゃんとした家を作れますから」と、現在の日本映画について筑紫さんが切り出す。すると佐々部監督は「(『四日間の奇蹟』で)吉岡秀隆くんから『監督、脚本下手ですねー』と言われてちょっとショックでした(笑)」とエピソードを披露すると、すかさず香川さん、藤村さんが監督を射撃。「佐々部監督の脚本はとても気持ちが入っていて、下手だなんて思いませんでした。熱い脚本というのが佐々部監督の特長。いつも現場は温かで、監督に会うたびに仏様のような人だなと拝みたくなりました(笑)」(香川さん)、「現場はとても素晴らしい雰囲気で、監督の人柄がでていると思いました」(藤村さん)。
 また3人は日本映画の将来についても語っていった。「公開2〜3日が過ぎると、1日1回の上映になるシネコンとはまた違う、映画をもっと育てたいという劇場が増えて欲しいです」(佐々部監督)、「『ラヴェンダーの咲く庭』を見に行ったとき、私と同じ世代の方々が1時間前から劇場に並んでいたんです。なのでシルバー世代向けの作品がもっと多くてもいいのでは」(藤村さん)、「テレビ、インターネット、携帯電話などいろいろある中で、映画は消えずに長い間残っている。だからむしろ頑張っているんじゃないかなと思うのですが…。もっと劇場に足を運んでもらうには、思い切って入場料金を900円にしたらどうでしょうか!?」(香川さん)などそれぞれ意見を述べ、特に香川さんの“入場料半額”の話では会場中から拍手が鳴り響いたのだった。
(yamamoto)

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□作品紹介
『カーテンコール』