8月15日(月)、劇団「ヨーロッパ企画」の人気舞台を映画化した『サマータイムマシン・ブルース』の講義付試写会が日本科学未来館にて行われた。“講義”には東京大学大学院教授にしてビックバン宇宙国際研究センター長でもある佐藤勝彦氏と、『踊る大走査線』シリーズで記録的大ヒットを飛ばした本広克行監督が登場した。
 
 とある猛暑の日。突然現れたタイムマシンを使って、壊れたクーラーのリモコンを取ってこようと「昨日」へ行くSF研究会の面々。が、そこから想像もしていないことが起こるという痛快コメディ『サマータイムマシン・ブルース』は、「昨日」と「今日」(たまに、もっと先の未来や前の過去)を行ったり来たりする本作だが、「矛盾なくシナリオが出来てる」と語ったのは佐藤教授。「『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART1』であったように両親の恋を邪魔したら自分が写真から消えるとか、そういったことは我々の理論ではありえませんから(笑)」との教授の言葉に、本広監督は「でも1つ辻褄の合わないところがあるんです(笑)。それは…皆さんで見つけてください(笑)」と実は矛盾があることを暴露。それでも日本の宇宙理論研究者の第一人者である佐藤教授に褒められて、監督は顔をほころばせていた。
 現実には存在しないが、昔から小説、映画、漫画の中で登場するなど馴染み深い“タイムマシン”。佐藤教授によると理論上は作れないこともない、というより絶対に作れないという理論がないとのこと。「限りなく光の速さに近いロケットを作れば、ありえなくはないです」。が、続けて教授から「それでもタイムマシンができる以前の過去にはいけない」との意外な発言が!「それに過去を変えるというのは怖いものです。『ドラえもん』のようにパトロールする人がいないと。でも、この作品のタイムマシンは今ひとつ頼りなさそうなんだけどね(笑)」と鋭い指摘も。これには本広監督も「頑張って作っている感じなので…。しかも5〜6人とか大量に乗っていますしね」と苦笑い。ちなみに本作のタイムマシンは、H・G・ウェルズの小説をモチーフしたガラクタ版であり、また浦島太郎の亀=タイムマシンと考えて“亀”の形になっている。
 
 最後は「『人間が想像したものは実現可能』と子供の頃に聞いたことがあって」と語った本広監督。「僕の仕事はそれを見せること。タイムマシンが出来たとき、この映画を思い出してもらえたら」と、大盛況の講義付試写会を締めくくった。
(yamamoto)

☆『サマータイムマシン・ブルース』は2005年9月3日(土)、渋谷アミューズCQN、新宿武蔵野館、シネ・リーブル池袋ほか全国ロードショー!!

□作品紹介
『サマータイムマシン・ブルース』