失踪した幼なじみの彼女を探して旅に出たミュージシャンの主人公を通して、都会で生きる“迷い”や“焦燥”をリリカルに描き出した、佐藤太監督のデビュー作となった『インディアン・サマー』。8月13日、渋谷シネ・アミューズでの公開初日には、佐藤監督をはじめ、主演のいしだ壱成、黒谷友香、能世あんな、伊藤かなが舞台挨拶を行った。
1年半前に行われた撮影を振り返って、印象に残っているシーンは?と聞かれたいしだは、「高所恐怖症なんですが、櫓(やぐら)に登る場面があって、すっごく怖くって、気づいていないかもしれないけど、ずっと友香ちゃんの洋服の裾を握っていました(笑)。本番ではパッと放して、何事もなかったように演技しましたけど。」とこたえると、黒川は「全然気がつかなかった!高いところは私はむしろ「気持ちいい!」と思ってしまう方なんですよ。12月に撮影したので、とっても寒かったということが強く記憶に残っています。」とこたえた。
いしだの恋人役でモデル出身の能世は「1人か壱成さんと一緒のシーンの、どっちかしかなかったので他の共演者の方々とご一緒する機会が現場ではなく、一つの世界しかみることができなかったんですが、かえってその方が演技に入り込みやすかったです。」とコメント。
本作で映画復帰となったいしだだが、俳優としてどう思うか?と尋ねられた女性陣は、「初めて会った感じがしなくて、スーッと入ってきてくれる雰囲気をもった方だと思います。」(黒川)、「初めてお会いしたとき、何てキレイな方なんだろう!と思いました。この瞳に吸い込まれてしまいそう。」(能世)とべた褒め攻撃。一方いしだの妹を演じた伊藤かなは「いしださんて、私がメイクを落とした後の顔に似ているんですよ(笑)!だから本当にお兄ちゃんって気がしますね。」というコメントには会場が爆笑した。
 また、東京湾をはじめ各地で花火大会が開かれたこの日だが、この映画でも花火がストーリーの中で大きな意味をもっているところから、小千谷市での撮影についても話題が及んだ。佐藤監督は「小千谷には打ち上げ花火の工場があって、以前そこを通ったときに、いつか撮影したいなと思っていたので、今回台本に書いてしまったというところがあります(笑)。小千谷の人たちにもこの作品を見てもらえる機会を作れたらいいなと思っています。」と語り、「実はこの作品を始めようというときに、最初にいしださんにお会いしたとき、とても強い瞳をしていて「やらせて下さい!」と言われまして、僕自身も背中を押されてしまったんです。その瞬間に、いしださんの頭の上に花火が打ち上がったのが見えました。彼の言葉がなかったら僕もここまでやってこれなかったと思っています。」と実に素敵なエピソードを披露してくれた。
(綿野)
 
★『インディアン・サマー』は渋谷シネ・アミューズにてレイトショー!

■作品紹介
『インディアンサマー 』