右も左も、ただ、ただ、まっ白な南極で「到達不能点」を目指して苛酷な旅を続ける6人の探検隊を襲う、不気味な気配。昼と夜の境もなく無限に広がる氷の雪の世界で遭遇する恐怖という名の、人間の闇を描く韓国映画史上最大の超大作『南極日誌』。
8月11日ヴェルファーレ六本木で開かれたジャパンプレミア試写会の舞台挨拶には、主演のソン・ガンホ、ユ・ジテ、イム・ピルソン監督が登場した。
 韓流四天王がとかく注目を集める韓国俳優だが、『JSA』をはじめ『反則王』『復讐者に憐れみを』『殺人の追憶』『大統領の理髪師』など近年の韓国映画の中で最も重要な作品に出演しつづけ、その無骨でありながら温かく、兄貴的な存在感を放つソン・ガンホ、若い女性を中心に人気を集めながらも『オールド・ボーイ』で初の悪役に挑戦し、若手の中でも実力派としてその存在を知らしめたユ・ジテという、韓流の真髄ともいえる2人の競演に、映画ファンに大きく注目を集めている。
 「決して山岳アクションではなく、人間の根源の欲望や葛藤、魂の寂しさを描いています。」と作品を紹介するガンホは、全身ダウンのスーツのような重装備のなかでの撮影について「大きなソリを引いて歩くシーンが多いんですが、そのソリの重さは約100キロはありました。事前にスキー場で合宿し、実際の探検隊がやっていることと同じことを体験しました。」と振り返る。
 一方ジテは演技について「シナリオもかなり細かく書いてあったので、それに忠実に演じていきました。(撮影はスウェーデンだが)南極という土地をいかに表現するかというところも課題でした。また、長い撮影期間中、体力を維持していくのも大変だった。」と苦労話を語った。またガンホについて「本当に演技がうまく、後輩の面倒もすごくよく見てくれる方です。一緒に仕事が出来て本当によかった。思い出深い作品になりました。」と本人を目の前にしながらも堂々と褒めたたえ、ガンホがはにかむシーンも。
 監督デビュー作でありながら、韓国映画史上空前絶後の超大作にチャレンジすることとなったイム・ピルソン監督は、「準備から完成までに約6年間の歳月をかけて作った作品です。真夏に見れば、とても涼しく感じられるので楽しんでみてもらえると思います。」と挨拶。「ガンホさんはユーモアのある俳優として韓国では知られていますが、僕は人間の内面や心理描写にとても優れた俳優だと思うんです。すごく人間味のある俳優ですね。監督にとってはいいキャンパスのような存在。ジテはまだ若いけれどチェ・ミンシクと共演してもひけをとらないパワーの持ち主。自身で短編映画を撮ったりと、これからも色んな方面で期待できる役者だと思います。」と2人の印象を語った。
最後に監督から「登場人物たちの内面の葛藤を想像しながらみると、より一層面白いと思いますよ!」と鑑賞の際のポイントを伝授してくれた。
(綿)
 
★『南極日誌』は2005年8月27日シネカノン有楽町、渋谷アミューズCQN他全国ロードショー!

◇作品紹介
『南極日誌 』